昨年来、新聞の社会面を賑わせた事件に、水族館のマグロなど大量連続死がある。殺人事件とは違い、あまり深刻さは醸し出さなかったようだが、公共展示施設における目玉動物のほぼ全滅という悲惨な事態は看過できない。
例によってマスコミ情報のみに頼って愚考を廻らすのだが、水族館側はこのような事態を全く想定していなかったように見受けられる。経験上、あり得ないと考えられる異常事態なのだろうか。素人考えでは、養殖魚と同じように水槽に閉じ込められた魚群は病気にかかり易い筈だ。水質の衛生管理、病魚の速やかな識別と隔離などは業務の基本だろう。
しかし、ニュースで知る限り、泳ぎ方などに異常所見のあった個体を隔離する措置が取られた様子は無い。死んだと判った個体を水槽から取り出していたようだ。感染症が疑われる状況において、これは無策に過ぎるのではないか。外部の専門研究機関に病理解剖など依頼しているようだが、管理者としてどのような防御の手を打ったのかが見えてこない。茫然と推移を眺めていたのだろうか。
肝腎の死因解明はあまり進んでいないらしい。肝臓などに病変が見られるとのことだが、ウィルスなど病原体が検出されないとは不思議なことだ。未知の病原体という可能性もあり、また、化学物質による一種の中毒死であるかも知れない。そんなことはとっくに検討済みだろうが。
当局発表の生存個体数は次のようである:
個体数
クロマグロ | スマ | ハガツオ | |||
2014年11月 | 1日 | 9:30 | 69 | 52 | 38 |
2015年3月 | 1〜2日 | 2 | 0 | 0 | |
3日 | 16:30 | 2 | 0 | 0 |
先を見越すことの得意な当局は、早くも展示用魚群の調達に動いているようだが、失敗を繰り返さない準備は出来るのだろうか。まさか同じ水槽に魚体を補給するだけということは無いだろうと思うが。
そもそも、このような展示設備が必要なのかどうかも反省する必要があるのではないだろうか。ヴァーチャルリアリティー技術の進歩もあることだし。