きょうは、アカデミー向丘まつり(数学者・志村五郎⑪~東京4.13空襲~湯島の白梅 2015/2/8(日))の総稽古をした。天気の悪いことは織り込み済みだったが、朝9時前に雪が降り出したのには緊張した。手足の傷は未だふさがっていないし、目は片方使えないし、重いキーボードも運ばなくてはいけないのに、その上傘を差すとなると、身動きが取れないのではないかと心配になった次第だ。幸い、雪は収まって、最悪の状況を脱すると急に気分が楽になり、落ち着いて出かける事が出来た。
乗り継いだバスを降りて歩き出したところ、発車したバスが10メートルほど先で停車し、一人のおじさんが降りた。こんなに融通をきかせる運転手が今時いるのかと驚いて見ていると、何とそのおじさんは一緒に稽古をする予定のMさんではないか。走り出したバスを止めて途中で降りる図太さに感心するとともに、沢山走っているうちの同じバスに乗り合わせた偶然にも驚いた。定刻よりもかなり早いタイミングだった。
会場は公園の一角にある瀟洒な造りの小図書館の2階にある集会室(和室)だ。合唱練習に適しているとは言えないが、これしか空いていなかったのだ。階が違うとは言え、静謐を旨とする図書館の中で合唱してもよいのかと予め了解を取ったのは言うまでも無い。
予定の参加者総勢7人のうち、ヴァイオリニストを除く6人が揃ったところで練習を始めた。本格的なピアニストでもある歌い手Eさんにはかったるいようなキーボードではあったが、快く弾いてくれて助かった。予定時間の半分ほど過ぎたところでヴァイオリニストのM嬢が顔を紅潮させて到着した。会場を間違えたとかで、必死に駆けて来たのだろう、気の毒になった。やっぱり、お迎えに行くべきだったかな。何しろのんびり屋さんで、気紛れなところもある芸術家だから。
そんなこんなで快調にお浚いをしていたところ、職員が襖を開けて顔を出した。碌な用件でないことは直ちに覚った。図書館の入館者から苦情が出たに決まっている。声もさることながら、ヴァイオリンの音量が圧倒的に大きい。もう少しで稽古も仕上がるところだったので、低姿勢で応対し、音量を下げて続行した。
音楽は、当事者にとっては文字通り“楽しみ”だが、期待していない人にとってはうるさく感じられるものだ。どんな名人の演奏であってもこれは変わらない。ましてアマチュア集団の練習とあっては余り威張れない。