今年最初の声楽鑑賞は、最寄りのホールで:
東邦音楽大学・岩見門下演奏会(岩見真佐子)
全席自由/入場無料 開演時間:13:00 終了時間:16:30
プログラムでは第一部~第四部と区分が為されていたが、演奏は切れ目無しのぶっ通しで、些か予定が狂った。出演者が多数に上るため、止むを得ずの措置のようだった。
解説、説明の類いは一切なく、プログラムの変更も案内されないので、戸惑うことも度々だった。どうも、一般のお客さんは期待していないようで、身内、関係者を聴衆として想定しているようだ。
先ず学生服の出場者が続いた。行儀よく直立不動の姿勢で歌う。只管楽譜に忠実に歌っているようで、それはそれで好感が持てた。基礎をしっかり身に着けることは重要だ。
続く一群は所謂ステージ衣装で、姿勢も歌手らしくなる。歌い方にも個性が見られる。
その後は当方の都合で一旦退場したのだが、戻って来て扉の外で暫く聴いていると、急に素人っぽくなっていた。初心者クラスか、年輩者でしゅみで歌っているような人たちのようだった。つまり、当方と同じレヴェルと思われた。しかし、ピアノ伴奏を務めるのは、プロである。
間合いを測って再入場したのが、ちょうど第四部の始まりだったようで、歌唱レヴェルが上がった。そして、最後を締め括ったのは、今野絵里香という新進ソプラノであった。
(参考)
東京多摩公立文化施設協議会は平成5年より実施してきました「多摩フレッシュ音楽コンクール」を前身として、コンクールの要素を取り入れた新人コンサートとして「多摩フレッシュ音楽コンサート」を毎年開催しております。
声楽部門 2013年6月21日(金) 最優秀賞(1位):今野 絵理香
という訳で、プロとして認められた形の実力者の演奏でめでたくお開きとなった。彼女の演目は次の通り:
R. Strauss “Das Rosenband” ばらのリボン
“Junghexenlied” 若い魔女の歌
山田耕筰 みぞれに寄する愛の歌
Dvorak Rusalka ルサルカ から 「月に寄せる歌~白銀の月よ~」
ほか、若い男性二人が印象に残った。
有村ひづち 小松耕輔 「母」
Donaudy “O del mio amato ben” ああ、愛する人の
小柄ながら声量豊かなバリトン。
佐藤日加留 Tosti “Sogno” 夢
お名前から、女性が登場すると思っていたら男性であった、と思った。歌声を聞いたら、やっぱり女性だったかと、まじまじと見つめた。視力が弱いので、しかとは判別できなかったが、背広姿でもあり、男性だろうと結論した。要するに、ボーイソプラノかカウンターテナーか、ということであった。音程も割としっかりしており、世の中には特殊技能の人が絶えないものだと再認識した。
最後に岩見真佐子先生が挨拶した中で、“今野さんは明日オーディションを受けに行く。プロとして本当に認められるまでこれからも試練が続く”というようなことを述べた。彼女、どこまで伸びるだろうか。