旧臘、シャッター速度フェムト秒(10-15秒)の超高速撮影技術に驚いた(超高速カメラ~フェムト秒~光速の1/6 2014/12/6(土))ところだが、今日の朝日新聞朝刊にアト秒撮影技術が伝えられた。具体的には100京分の1秒だそうだから、10-18秒であり、一気に千倍の高速化である。
“電子の動き、閃光で観測 NTTと東京理科大 2015年1月29日05時00分
ごく一瞬だけ光る閃光(せんこう)を超高速で動く電子に当て、電子の動きを正確に観測する技術をNTTと東京理科大の研究グループが開発した。閃光を使えば電子の動きも制御できる可能性がある。通信用の光を瞬時にオン・オフする素子や、新しい化合物を作り出すなどの応用が考えられるという。
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NTT物性科学基礎研究所の増子拓紀主任研究員らは、原子や分子より速い電子を捉えるため、100京分の1秒(京は1兆の1万倍)である「アト秒」の光を当て、動きを割り出す技術を開発。特に高速の「内殻電子」の観測に成功した。
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この光を内殻電子に当て、高速で進む化学反応を制御できれば常識を覆す反応をつくり出せる。超高速の性質を生かしたスイッチ素子を開発すれば、光通信などのデータの処理速度が飛躍的に上がるという。~”
通俗科学ファンとして先ず気になるのは、電子に光を当てて観測すれば、電子の動きが当然乱されるわけで、観測されていない状態の本当の動きはどのようにして確認するのかということだ。計算によって補正するのだろうか。
もっと低レベルの疑問だが、電子と言っても通常は粒としてどこか一点に存在するのではなく、空間に確率的に分布するのだと教えられているので、それに光を当てるとはどういうことか。原子の内殻電子を直接に見るというのだから、放射電子を電磁力やスリットで導いて観測するのとは違う。
最後に、“超高速の性質を生かしたスイッチ素子を開発すれば”と言うのだが、この超高速撮影技術自体が超高速スイッチを利用していないのだろうか。これは甚だ文学的な疑問であって、技術的な問答にはならない。簡単な報道だけでの想像の領域だ。研究チームの公式サイトなどで確認するのが本筋だから、近いうちに訪問することにしよう。
何はともあれ、当管理人の気にする時間量子の1025倍(1兆倍の10兆倍)まで近づいて、一歩前進というわけだ。