「数学をいかに教えるか」には、当然ながら数学の話題が沢山盛り込まれている。それらは当管理人のような算数マニアの理解力を超えているのだが、それでも流し見ると充足感を味わう事が出来る。
例えば、全自然数の和が無限大に発散する筈だという直観に反して、-1/12という有限の(それも負の)値になることを主張する変な公式、1+2+3+4+5+・・・・・=-1/12(当欄既出 オイラー~リーマン~ゼータ 2009/6/3(水))の話がある。
志村先生は、この公式を表記するのに、等号(=)を無造作に使用せず、感嘆符(!)を冠らせるのである(= ( ! ))。そんな記号にお目に掛かるのは初めてだ。その= ( ! )の意味は、“単に=としたいがそうもいかず、ともかく左辺を有限の値にしたければそれが一番もっともらしいと言うぐらいの話”である。
これで長年のもやもやが晴れた。当欄でも、この変な公式を導く前提に常識的な算数のルールを逸脱するところがあるのだろうと書いたことがある。その時はそう考えざるを得なかっただけのことだが、志村先生の説明で裏書きされたと思った。
欲を言えば、リーマンのゼータ関数を使って証明する過程のどこにルール逸脱(あるいは再定義)があるのか、素人解りするように、具体的に書いて欲しかったのだが、甘えるんじゃないと一喝されそうだな。