予感通り温暖な元日となった。気象庁のデータを見ると、東京だけでなく、全国的に気温が高めのようだ。
地球温暖化とは関係無い通常の天候変化の範囲内の現象だとは思うが、今年は本格的に省エネ、省資源、省支出に努めようかと言う気になる。増税と減年金が襲いつつあるから。
無駄を減らしつつ、必要なことには資源を重点配分して、生活の質は落とさないようにしよう。
原題 SuperFuel: Thorium, the Green Energy Source for the Future
Author: Richard Martin
Publisher: Palgrave Macmillan Pages: 272
Price ( Hardcover ): $27.00 Publication Date: May 8, 2012
論理的に詰めていけば、エネルギー源として選ぶべきは、“トリウムフッ化物溶融塩炉(LFTR リフター)”であると主張している。しかも、この論理的結論は既に半世紀前に出ていたとのことである。それが何故実現していないのかという当然の疑問に答える為に総ページ数の半分以上が費やされている。
当管理人の理解する限り、最大の原因は、偶々ウラン燃料の軽水炉の実用化が早かったこと、その製造体制を整えた陣営(企業及び発注者)が確実な受益を望んだことにあると述べているようだ。
初期の原子力開発で支配的な立場にあったアメリカの国内(軍部及び企業)事情でトリウム原子炉の開発は行われなくなった。
兵器用のプルトニウムを大量に確保したいという軍事的な要請が絡んでいるとも見られる。ウランを燃料とする原子炉からはプルトニウムが得られるが、トリウム原子炉からはウラン233は生まれるが、プルトニウムは出来ない。アメリカ以外の諸国でも同じ原理が働いている可能性が高い。
現在トリウム原子炉の研究開発に積極的に取り組んでいるのは、インドと中国である。それぞれ独自の事情もあるのだが、両国の計画が順調に進めば、二酸化炭素の発生を抑制する効果は大きいと思われる。
しかし、そうなった場合、国際政治力学上の別の問題が起きる可能性が高い。従って、アメリカも一刻も早くトリウム原子炉の実用化に取り組むべきである、と著者は主張しているように思われる。愛国心に訴えるならば、日本にも同じことが言えるわけだ。
前回も書いたが、未だ実証段階に至らないトリウム原子炉について、その利点はよく解るが、問題点もあるに違いない。既に判明している事柄の外に、実証規模の運転では必ず問題が浮上するだろうから、今の時点でトリウム原子炉をバラ色に思い描くのは尚早だ。
勿論、可能性を否定する必要も無い。着実に開発を進めるのが理性的な態度と言うものだ。どれ程の勢力を注ぎ込むかの判断は微妙だ。
本訳書は結構読みづらい。生硬な文章の所為もあるが、論旨不明の部分もある。明らかな誤りもある。あまりムキにならずに読み流すべきかも知れない。