先頃の総選挙は争点の無い選挙だった、つまり無用の選挙だったという見方は妥当であると思う。とは言え、選挙をやりたい人達はそうも言っていられないので、一応“アベノミクス選挙”などと喧伝していたようだ。
これにはもう一つの意図があったと見ていい。この時期に選挙をやりたい腹を探られたくないので、目くらましに“アベノミクス選挙”を強調したのだろう。首尾よく大勝利を収めたアベ一族は、これから、本当の意図、つまり改憲に取り掛かるのだろう。
ところで、アベノミクスとは何だ。多分、アベのエコノミクスを縮めた新語だろうが、問題はその中身だ。報道から察するに、景気拡大の幻想を振り撒いて企業や家計の財布の紐を緩めさせ、設備投資や消費支出の増大を導き(予言の自己実現性)、あわよくば幻想を現実化しようとする企みらしい。
その補強策として、日銀券をじゃぶじゃぶ供給させ、株価の買い支えに年金基金を動員する。そんなことで国民が裕福になるなら、難しい経済学など要らない。エコノミストも日銀総裁も要らない。皆で株を買いまくればいいのだ。株価が上がって富が増大する。実物資産が増えなくても、金融資産が増えればよいのだ。
物価上昇目標を達成するために、賃上げをしてくれと日銀総裁が言ったとか。こういうのを本末転倒と言うのでは?日銀の使命に、物価の安定という項目があったと記憶するのだが、今はどこかに行ってしまったようだ。
しかし、選挙の結果を見る限り、平和憲法の護持よりも、危なっかしいアブナミクス幻想に夢を見る人が多数派なのだ。あぶく(泡)を飲むようなアブノミクスで下から空砲ばかりにならなければよいが。