森鷗外の詩に曲を付けた「沙羅の木」は、今のところ信時潔、小松耕輔、下総皖一の3人の作品が知られている。我々合唱マニアにとって残念なのは、小松版が独唱譜しか無いことだ。独唱譜でも、ピアノ伴奏譜が付いていれば、そこから二部、三部合唱譜をでっち上げることは常々実行している。
しかし、小松版「沙羅の木」には、この安直な手は通用しなかった。歌詞及びメロディーと歩調を合わせた伴奏ではないのだ。その伴奏譜に強引に歌詞を載せても、とても歌えるものではない。
そこで、メロディーとハモるように単純に低声部を敷設し、伴奏の主たる音と極端な不協和を来さないように調整して、ハミング譜を作ってみた。
音取りには苦労しなくて済む簡単なハミングだが、実際に独唱と合せて、聴くに堪えるものか、頭の中で鳴らしてみる芸当はできない。理屈では上手く行く筈だが、実際に歌ってみないことには実用性の程は判らない。
今度の例会で皆さんにお願いして試演しよう。