我々素人に馴染みの「落葉松」は、北原白秋の次のような詩によるものだ:
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。~~~ 「水墨集」から
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。~~~ 「水墨集」から
曲を付けた音楽家は数十あるいは百余に及ぶとか。ここ数年実際に歌っているのは、後藤惣一郎の作曲したものである。もともと学校生徒向けに作ったと言われるように、歌い易いのと、楽譜が手許にあるという、安易な理由による。
数十年前に音楽の授業で教わった「落葉松」は、検索したところ、井上武士の作曲であった。メロディーの細部はともかく、ほぼ覚えていた。
コンサートで独唱されるのは、野上彰/小林秀雄の「落葉松」が圧倒的に多い。ピアノも活躍するので、聞き映えするからだろうか。
落葉松の秋の雨にわたしの手が濡れる
落葉松の夜の雨にわたしの心が濡れる ~~~
これら二つの「落葉松」だけならさほど混乱することも無いだろうが、北原白秋には別の「落葉松」があり、ややこしくなる。
浅間千ヶ滝
からまつ原よ
下(しも)は追分
合(あい)の宿(じゅく)
駒の沓掛
追分手綱
唄もいそいそ
軽井沢 ~~~ 「日本の笛」から
からまつ原よ
下(しも)は追分
合(あい)の宿(じゅく)
駒の沓掛
追分手綱
唄もいそいそ
軽井沢 ~~~ 「日本の笛」から
こちらは、平井康三郎が作曲している。一度も聴いたことは無いが、楽譜でメロディーを追ってみると、歌い易そうで、何やら民謡風の印象を受ける。合唱版があれば取り上げてみたい。
備忘録(幾つかのサイトから情報を得た。):
北原白秋 1885-01-25~1942-11-02 「落葉松」作詩は1921か。
水墨集 詩集 発行1923.6.30 アルス
作曲 後藤惣一郎 1963 全国作曲コンクール(文部省など主 催)第1位 その後、中学校音楽教科書に採用された。
長村金二 1936 NHK国民歌謡
日本の笛 歌謡集 発行1922.4.10 アルス、
作曲 平井康三郎 1943
野上彰
落葉松 作詩 1947 軽井沢
作曲 小林秀雄 独唱曲 1972、女声合唱 1976、
混声合唱 1984 NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部課題曲 1985