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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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科学的観察~芸術的完成~人体解剖 

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長崎県佐世保市で726日に発生した“女高生級友殺害切断事件”について、あることが気になっていた。
 
独立行政法人科学技術振興機構(JST)という公的な団体が発行する季刊雑誌Science Window2014 年春号(4-6月)/第81号は[特集:わたしの体が教えてくれる]を特集した
 
 
色刷りの図判を豊富に散りばめた読み易い科学解説誌である。表紙絵の説明に次のような記述がある:
 
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『ウィトルウィウス的人体図』。ウィトルウィウスは古代ローマ時代の建築家で、著書『建築について』には、建築のことだけではなく、肩幅は身長の1/4になるなど、人体にかかわる比率についても記述されている。
これを読んだダ・ヴィンチが視覚化しようと考え、描いたのがこの絵だといわれている。ダ・ヴィンチは、ミケランジェロと同様に、人体の構造を知りたくて解剖をしていたとも伝えられている。
 「人体を切らずに体内を見られるようにしたレントゲンの開発は画期的だった」と評するのは、解剖学者の坂井建雄先生。現代ではさらに進歩したCT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの体内を見る装置が普及している。”
 
続いて 人体には無限に学ぶべきものがあるでは、《人体をありのままに見る 科学イラストレーター 木村政司》が次のように述べる:
 
“バチカン市国にあるシスティナ礼拝堂を訪ねて、上を見上げると、、、、イタリア人画家のミケランジェロが描いた『アダムの創造』です。ルネサンスを代表する作品です。
ルネサンスの芸術作品の特徴は、リアリズムです。見えるままに描く。この絵の人体も、筋肉の付き方、体のしなり、骨格のバランスが見事に描かれ、、、、
ミケランジェロは人体を解剖していたと言われています。当時、画家たちは人の体を完璧に描こうと、人体を切り開き、その構造を理解しようと努めていました。私も、科学イラストを制作するために、解剖に立ち会ったことがあります。初めて見る人体の内側を目の当たりにしたとき、私はルネサンスの画家たちとつながったと感じました。
……あの画家たちは本物の人体の内側も見つめたからこそ、あれほどの存在感を持つ絵を描けたのだと思います。
、、、今の私たちには、人の体の中を見る機会がほとんどありません。むしろそれを避けています。
、、、体をありのままに見ることは、自然を見ることと同じ。この自然物が、いろいろなことを教えてくれるのです。
、、、人々が人体を見つめることをやめたら、ルネサンス以前に戻ってしまいます。もっと、大人も子どもも、人体の内側をありのままに観察できる機会があるといい。その経験は、きっと自然をありのままに見つめる力をはぐくんでくれるはずです。” 
 
実体を在りのままに観察する科学的な姿勢の大切さを述べたものだが、    偶々、社会的な常識的な判断を欠く者がこれを読んで、手近の“人体”で悪気も無く、罪の意識も無く、実践しようという気になりはしないか、と気になった。
 
科学と芸術に親しむことは、鑑賞であれ、創造であれ、均整のとれた精神を育む上に有益と思われるが、独り歩きには思いがけない落し穴の危険がある。
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