“赤い羽根”に絡んで“赤十字”に関心が向いたついでに、以前から気になっている歌を記録して置こう。そのタイトルもずばり「赤十字」という。
いでゝ戦ふ ますらをの 力となるは 何なるぞ
きよき心を 其白旗(そのしろはた)に そめてかがやく 赤十字
刃(やいば)の林 弾丸(たま)の雨 くゞらずとても 国のため
いくさのにはに 少女(おとめ)のいでゝ 盡(つく)すは是(これ)よ 赤十字
血しほの流れ 骨の山 こえきてなやむ 大丈夫(ますらを)を
なぐさめみとる やさしき其手(そのて) 盡(つく)せ誠(まこと)の 赤十字
曲は、ホ長調(4♯)4/4拍子、♩=88 ‘威を以って’と指示されている。全16小節で、2小節ごとに山型を繰り返す歌い易いメロディーだ。作者不明である。どこからダウンロードしたのかも判らなくなった。国会図書館のデジタルコレクションだったと思うのだが。
ソ|ドードド|レ・シソソ|ミーミ・ファ|レー ~
調べてみると、同名の歌が複数残されていると判る。その一つは別名「婦人従軍歌」(歌詞 菊間義清、楽曲 奥好義)と言い、“火筒(ほづつ)の響き遠ざかる~”の歌い出しで、結構親しまれたらしい。
メロディーは、どこかの軍歌から借用したような印象である。大体、戦前の日本赤十字社は、軍部との結び付きが強く、軍隊の補助組織のような性格があったようで、重要事項の決定には陸・海軍大臣の許可を貰っていたらしい。戦地での救護活動中に不幸にして命を落とし、靖国神社に合祀された人もいるとか。