瀧廉太郎の作詞作曲になる「月」は、インタネットで公開されている“共益商社楽器店蔵版(1900年11月)”楽譜によれば、ハ短調(3♭)無伴奏混声四部合唱曲である。
一方、一般に独唱で歌われている「秋の月」は、山田耕筰の編曲になるもので、ロ短調(2♯)、ピアノ伴奏付きである。全体に半音低くなっているほか、前に書いたように(2014/8/16(土) )言葉割り(譜割り?)が変わっている。その部分を対照すると、次のようになる:
ものー をおーもはーす るー(滝 原曲)
ミファーソラーラソーファミー(1回目)
ミファーソラーラソーファミー(1回目)
ミファーソラーレドード シー(2回目)
ものー おもーわすーー るー(山田編曲)
原曲の終部では、リタルダンドやフェルマータの指示があるが、編曲では消えているのは、無伴奏とピアノ伴奏の違いと思われる。
山田耕筰は何故“ものをおもわする”を“ものおもわする”に変えたのか。MONO O OMOWASURU と三連Oになるのを嫌ったのか。
編曲版の原典を見てはいないが、一応権威のある音楽出版社の刊行物を見たところ、巻末の略説に付記された歌詞は、現代仮名遣いで、“ものをおもわする”となっていた。楽譜上は“ものおもわする”で“を”が取れており、整合していない。編集のミスか。