今夕の某TV局特番「8.12日航機墜落 30回目の夏 生存者が今明かす“32分間の闘い” ボイスレコーダーの“新たな声”」を全部視ることは出来なかった。
しかし、最も関心の高い問題、すなわち事故原因に関しては、政府の事故調査委員会報告の結論を追認していると思われる。番組を最後まで視ていないので、論評するのは不謹慎ではあるが、最新の音響解析技術とやらも、前宣伝の割には陳腐だったように思われる。
音波の伝播速度が金属と空気とで異なることに基づいて圧力隔壁の破壊が最初に起きたと断定している点については、是非とも計算過程を示して欲しかった。
机上計算だけなのか、実機での計測データに基づくのか。空気は連続体としていいが、機体材料には継ぎ目がある。一つの音源から発した音波が、伝播経路の異なる二つの音として単純に分離できるのかどうか。
機体材料内を伝わる音波も、途中でどんどん空気中に洩れる筈ではないか。とすれば、それらはひとかたまりの音としてマイクに拾われないだろうか。
こんなことは実験してみれば、あるいは経験のある人には直ぐに判るのだが。
番組を部分的に視ただけでの感想を敢えて言えば、音響解析の権威者の出した結論は、事故調報告を前提とした解説でしかないように思われる。視なかった部分に新事実でも紹介されていたのかな。
ところで、番組で使われたボイスレコーダーに近いカセットテープというのも微妙だ。事故機のボイスレコーダーはもう存在しないのだろうか。あるいは、そのディジタル化されたデータが保存されていないのだろうか。