シューベルトFranz Peter Schubertの「野ばら」Heidenröslein(詩 ゲーテJohann Wolfgang von Goethe)は前奏が無く、正式には伴奏のピアノと同時に歌い出すのだと教わった。
何十年も聴き、かつ、歌って来ているのに気が付かなかった。実際の演奏では終部の2小節ばかりを前奏代わりに弾いて、絶対音感の無い歌い手に便宜を図っていることが多いのだとか。
改めて楽譜を見ると、歌い出しは移動ドでミの音だが、同時に鳴るピアノの音はドとなっている。絶対音感を有しなくても、演奏の直前にこっそり、カンニング“音取り”をしておけば作曲者の意図通り無前奏での歌い出しは可能だ。
或いは、同じ調の曲を先行させて、さりげなく「野ばら」に移るのも利口なプログラムの組み方だと思われる。理屈から言えば、前曲が同じ調である必要は無い。両曲の調の関係から、歌い出しの音を算出する事が出来る。事前に計算して置けば面倒が無い。
ただし、この方法は、曲間に余計なモノを挟まないよう、或いは邪魔が入らないよう、注意しなければならない。音を見失わないために。
この「野ばら」は1815年に作曲されたのだそうだ。つまり、来年は二百周年という大きな節目、これに便乗しない手は無い。今から練習しておこう。尤も、同じ年にシューベルトは大量の作品を生み出しているらしい。