夏バテ気味で体がだるいが、気持ちを奮い立たせてバスを乗り継ぎ、浅草まで行ってオペラを鑑賞した。浅草オペラというジャンルもあるやに聞くが、きょうのは正統のクラシック・オペラ、ただし、いわゆる演奏会形式、しかも抜粋である。だからこそ、お得なコンサート狙いにも手の届くお値段で観る事が出来る。
~ モーツァルトとロッシーニのオペラより ~ | |
モーツァルト | 《コシ・ファン・トゥッテ》一幕より No.1.2.3 |
グリエルモ: | 竹内 利樹 |
フェランド: | 持齋 匡 |
ドン・アルフォンソ: | 高崎 翔平 |
ロッシーニ | 《セヴィリャの理髪師》より第一幕 No.7 |
ロジーナ: | 山下 裕賀 |
フィガロ: | 赤木 克行 |
ロッシーニ | 《セヴィリャの理髪師》より第二幕 No.16 |
ロジーナ : | 野間 愛 |
フィガロ: | 赤木 克行 |
伯爵: | 川上 春央 |
モーツァルト | 《フィガロの結婚》より 第二幕 |
(始まりからアントニオの登場前まで) | |
アルマヴィーヴァ伯爵: | 堤 智洋 |
伯爵夫人: | 品 綾野 |
スザンナ: | 竹田 舞音 |
フィガロ: | 青木 海斗 |
ケルビーノ: | 野間 愛 |
モーツァルト | 《フィガロの結婚》より 第四幕 |
アルマヴィーヴァ伯爵: | 堤 智洋 |
伯爵夫人 : | 品 綾野 |
スザンナ: | 横森 由衣 |
フィガロ: | 青木 海斗 |
ケルビーノ: | 山下 裕賀 |
マルチェリーナ: | 中島 郁子 |
バルトロ: | 高崎 翔平 |
バジーリオ: | 川上 春央 |
バルバリーナ: | 塚本 江里子 |
クルツィオ: | 吉田 伸昭 |
指揮: | 山脇 幸人 / 松川 智哉 / 石坂 幸治 |
ピアノ: | 服部 容子 |
ヴァイオリン: | 戸原 直(1st) /浮村 恵梨子(2st) |
ヴィオラ: | 古賀 郁音 |
チェロ: | 伊東 裕 |
出演者は藝大生となっている。特に選ばれた優秀な院生たちだろう、皆さん好いお声でのびのびと歌っていた。
有名なオペラばかりで、粗筋はプログラムに記されているが、なかなか頭に入らない。老化で頭が固くなっているだけでなく、粗筋そのものも、詳しい筋書の所々を切り張りしたらしいことも原因のようだ。
聞き知る曲は“Voi che sapete 恋とはどんなものかしら”だけだった。それでも退屈しなかったのは、美声と歌唱力のお蔭だ。皆さん、まだ在学中というから凄い。声の迫力には少し欠ける場面もあるが、それを差し引いても、これだけ役者が揃えば壮観だ。毎年このような人材が巣立っていくのは、実に頼もしい。
略式とは言えオペラだから、皆さん演技も疎かにできない。かなり稽古を積んだだろうことが見て取れた。観客としては楽しいことだが、出演者にとっては大きな負担だろう。好きでやっていることだから、他人が心配しなくてもよいようなものだが、歌にしか興味の無い者には気懸りなことだ。
今日の出演者たちの先輩格たるデビュー済みの歌手による《Cosi fan tutte》が10月に藝大奏楽堂と新国立劇場とで上演さるらしい。お値段は今日の十倍だが、それでもお得感がある。初めてのオペラ観劇には持って来いかも。
ところで、歌手にばかり目が行って、楽器奏者や指揮者を忘れそうになる。目立たないように黒装束で登壇しているが、彼らも大きな役割を果たしていることは言うまでも無い。
歌手は指揮者を見ているわけではないから、楽器(今回はピアノと弦楽器)の伴奏でシンクロナイズしているに違いない。指揮者は歌手を間接的に指揮しているということか。歌や演技を見ながら楽器演奏にフィードバックするのだろうか。それとも、歌手が自己責任で伴奏に合わせるだけなのか。これまた、他人が心配することではなさそうだ。