面白い歌を見付けた。
僕等の団結 作詞 勝承夫(1902-1981)、作曲 信時潔(1887-1965)
楽しい時も苦しい時も
僕等の誇りは団結だ
僕等は互いに信じ合う
嬉しい事は分かち合い
苦しい時は助け合う
いつでも明るく楽しい仲間
僕等は元気で励み合う
~
僕等は互いに鍛え合う
~
僕等は希望を語り合う
憩いの夕朗らかに
未来の夢を胸に抱く
僕等は新月楽しい仲間
戦う時も憩いの時も
僕等の誇りは団結だ
楽しい時も苦しい時も
僕等の誇りは団結だ
僕等は互いに信じ合う
嬉しい事は分かち合い
苦しい時は助け合う
いつでも明るく楽しい仲間
僕等は元気で励み合う
~
僕等は互いに鍛え合う
~
僕等は希望を語り合う
憩いの夕朗らかに
未来の夢を胸に抱く
僕等は新月楽しい仲間
戦う時も憩いの時も
僕等の誇りは団結だ
先の大戦中のラジオ番組《国民歌謡》が《国民合唱》に衣替えするまでの繋ぎに位置する《われらのうた》で放送された(1941年10月)という。
面白いのは、その歌詞だ。時局柄、国民の戦意昂揚を図る歌である筈だ。しかし、他の戦時歌謡などと違い、国民を直接に戦争に駆り出したり、戦争協力を促したりする文句が無い。
終節に“戦う時も憩いの時も”とあるのが唯一戦時下を思わせるのだが、それは当時まさに戦時下であったからに他ならない。今歌っても、スポーツなどの競技における戦と理解して違和感は無い。労働運動華やかなりし頃ならば、労働歌、団結の歌として十分に通用したのではないか。
もう団結や闘争を旗印にする労働組合は殆ど見掛けない時代になって、些か拍子抜けだが、ヴィデオゲームの世界でも使えそうな歌ではないか。
作詞の勝承夫は、戦争中の国策協力に於いては人後に落ちなかったと評価される詩人だ。その人にして、このように巧みに検閲を擦り抜けるような工夫をして、実は抵抗を試みていたのかも知れないと思われてきた。
曲は、詩形に合わせて、前唱・後唱付き4節からなる二部合唱となっている。ハ長調2/4拍子、♩=69、“いきいきとたのしく”と指示されている。
「決戦下の中等学生愛唱歌集」(1943年3月 白眉出版社)という勇ましいタイトルの歌集に収められたのが奇跡のように思われる。