イーヴニングコンサートの翌日はランチタイムコンサートと、無料コンサート巡りは、我ながら、いじましい限りだ。生の、本物の音楽に魅入られてクラシックコンサートに足を運ぶようになることを期待しているであろう主催者には申し訳ないが、ここで十分に満足して留まっている。
音楽ホールで、雑踏騒音に気を散らされること無く生演奏に浸るに越したことは無いが、小さく固まった精神には敷居が高い。
7月8日(火) 第356回
爽やかな歌のひと時をあなたに~feeling with you~
中本椋子(ソプラノ)/志摩大喜(テノール)/角田恭子(ピアノ)
中本椋子(ソプラノ)/志摩大喜(テノール)/角田恭子(ピアノ)
Aプログラム12:05~
1. 私が街を歩くと プッチーニ《ラ・ボエーム》から [中本]
2. 荒城の月 土井晩翠/瀧廉太郎 [志摩]
3. 夏は来ぬ~われは海の子 [二重唱]
4. 何と美しい絵姿 モーツァルト《魔笛》から [志摩]
5. 宝石の歌 グノー《ファウスト》から [中本]
6. 唇は黙っていても レハール《メリー・ウィドウ》から [二重唱]
Bプログラム12:35~
1. 初恋 石川啄木/越谷達之助 [志摩]
2. 浜辺の歌 林古渓/成田為三 [二重唱]
3. 恋人を慰めて モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》から [志摩]
4. 影の歌 マイヤベーア《ディノラ》から [中本]
5. オー・ソレ・ミオ ディ・カプア [志摩]
6. 乾杯の歌 ヴェルディ《椿姫》から [二重唱]
志摩、中本の二人は、このシリーズで3~2年前に聴いており、彼らの実力が印象に残っているので、楽しみにしていた。しかし、あれこれと些事にかまけて出発が遅れ、A2.「荒城の月」の途中から聴くことになった。
期待通りの美声を聴かせてくれたお二人だが、どうしたことか、A3.の唱歌メドレーでは歌詞が混乱して、メロメロになりそうな気配さえした。それぞれ独自の歌詞で歌うオペラのような場面もあった。まさか演出ではないとは思うが、案外面白いかも知れない。
日頃歌いつけない童謡・唱歌の類いが、彼らにとっては落し穴なのだろうか。他の曲でも本調子ではないのかなと危ぶまれるところもあったようだが、それとも準備不足だったのかな。
中本のコロラトゥーラの妙技、志摩の会場巡行サービスも楽しく、1時間弱ながら、電車に乗って聴きに行った甲斐がある。
ところで、雑音・騒音はつきものながら、奇声を発する子供が野放しになっていて、普段の騒音とは段違いの艶消しになっていた。どんなに演奏の障害になっても主催者や出演者は、ロビー・コンサートゆえ、我慢する約束になっているのだろうか。