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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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「大正少年唱歌」③~競作~短ハ調 

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「大正少年唱歌」で目に付いた幾つかの作品をメモしておこう。
 
小松耕輔「勝った亀の子」ニ調二拍子
 言わずと知れる“兎と亀”のお話だ。もともと“亀の子”だったのだろうか、よく覚えていない。兎は“兎の子”だったのかな。有名な童謡兎と亀」(石原和三郎/納所弁次郎)の歌詞は、兎と亀との対話形式になっている。明治時代にしては洒落た作品だと思う。こちら大正版は、説明、教訓調である。
 
梁田貞「赤とんぼ」ヘ調六拍子
 “あれあれ とんぼ とんぼ、つづいて来るよ。 きれいな羽をば、水にうつし、
いくつも いくつも、後から後へ、あれあれ つづいて、赤とんぼ来る。~”
有名な「赤とんぼ」(三木露風/山田耕筰)は大正10年(1921年)作詞、昭和2年(1927年)作曲というから、多分梁田版の方が先だろう。山田耕筰の歌曲風とは当然に印象が違って、唱歌風だが、悪くない。
 
小松耕輔「タンク」ト調二拍子 (文部省認定)
 タンクは戦車のことだ。今ではタンクと言えば、液体やガスの容器を思い浮かべるのが普通だろう。いつごろから戦車の意味が薄れたのだろう。日本が異例の長期平和(無戦争)を享受している間にガスタンク、ポリタンクなどが優勢になったのだろうか。
 “~ ドン、ドン、ドン、ドン、敵の弾丸、 パッ、パッ、パッ、パッ、當るとも、
    少しも恐れず、進むよ進む。 鉄条網も、塹壕も、 あれ、あれ、タンクが乗り越すよ。”
 武器、戦闘車両のイメージを催さない歌詞は、タンクがカッコいい先端技術(の乗り物)として受け止められていたことを反映するのだろうか。
 
梁田貞「養老」短ハ調二拍子
 題名から内容を推し量ることが出来なかった。“養老の滝”の話なのだ。そんな話のあることも知らなかったのだが、周知の物語なのか。酒好きの老父に孝行を尽くす貧しい樵に、神様が酒の瀧を賜ったというのだが。親孝行の奨めとは言え、さすがに文部省認定とはならなかったようだ。
 
ところで、“短ハ調”と表示されているのは、勿論“ハ短調”なのだが、昔はこのような呼称が普通だったのか。長調の場合は“長”を略している。
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