スポーツ(運動、競技、試合)と音楽とは相性が良い。舞踊となれば、音楽と不可分のように思える。パントマイムは舞踊かな、演劇かな? 音楽(リズム)に合わせて体を動かすと調子が良い。逆に、体を動かしていると鼻歌が出て来ることも普通だ。
音楽学校では体育が重視されているとも聞く。演奏には体力が必要だからかも知れないが。いずれにしても、運動と音楽とが相互に役立つ関係にあることを思わせる。
そこへ、運動と音楽とが並列ではなく、一体であるとの認識の登場だ。ある旧制高校寮歌愛好会の報文に記されたもので、昔の人の“竹刀の響は無上の音楽”だと言うのだが、“竹刀の響”は撃ち合い(搏撃?)から生じる“音”だから、運動そのものではないよと諭されそうだな。
運動から生じるリズミカルな音の響きは確かに音楽に近いだろう。“無上の音楽”と称えるのは、音楽の中の最善を意味するわけではなく、“この上ない喜び、快感”というほどの意味だろう。
それも、好きな剣道(撃剣とも)を竹刀の響き、すなわち音で象徴させ、音の喜び、音楽と結びつけたものだろう。
オートバイ乗りには、重厚な排気音が無上の音楽であるかも知れない。工員さんには機械の運転音が、パチンコ好きには玉の騒々しい流れが、学生さんには先生の単調な講義が、無上の音楽、とは言えないか。