今年の歌い納めとなった某施設の歌う会でのこと、「北国の春」に次いで「家路」(ドヴォルザク「新世界」)が歌われた。選曲した司会者の弁は、“あのふるさとへ帰ろかな”と“家路”の連想によるとの趣旨であった。
両曲終わった後、ピアニストが、混線しそうだったと言いながら、それぞれの末尾部分を交互に弾いてみせた。確かに似ていると感じた。長年なじんだ両曲だが、言われるまで全く気付かなかった。
メロディーを五線譜に落として比べてみた。「北国の春」の“ふるさとへ かえろかな”と「家路」の“ははの かげの”の部分が、かなり似ていることが見て取れた。さすが、音楽家の感覚は鋭い。
そのピアニストさん、最後にプレゼントと称して、小型(27弦)のハープを弾いて聞かせた。まだ初心者だと謙遜しながら、「アメージング・グレース」とチゴイネルヴァイゼン風「津軽海峡・冬景色」を訥々と弾いた。
ハープはイタリアから取り寄せた特注品だとのことだ。気安くお値段を尋ねたらそっぽを向かれてしまった。舌禍には十分懲りているはずなのに、またまた失敗してしまった。