朝日新聞の夕刊に“伝統の犬ぞり北極快走 研究者乗せ 薄い海氷で活躍”の見出しでグリーンランド犬の記事が載っている。
“グリーンランドで、すたれつつある先住民伝統の犬ぞりが、日本人研究者に見直されている。~人を乗せて広い範囲に移動でき、薄い海氷にも近づける利点を役立てようとする試みが始まった。~
地球最北の村までスノーモービルを運ぶのは難しく、薄い海氷上を走るのも危ない。~9頭のグリーンランド犬が横一列に並び、~4人と荷物で約500キロになったそりを引っ張り~時速10キロほどで走行~”
研究者2人、犬ぞり御者、記者の4人とそり本体、荷物で約500キロの重さだということだ。零下30℃の厳寒の地だから、防寒装備の重さは一人当たり10キロほどになるだろうか。
観測機材などを差し引くと、そり本体は随分軽いものと想像される。低温強度に優れた軽量素材で作られているのだろう。
当然、伝統のグリーンランド犬ぞりだっただろうが、装備の性能は現在最先端のレベルから見れば、随分劣っていたことは間違いない。遭難前の行程で、仲間の一人が凍傷の足指10本をペンチナイフで切断されたと記されている。
彼の遭難現場は、約半年後の夏に、雪上車が動いてから発見された(太田浩一氏による)。
上記記事は、伝統の技が、先端技術との組み合わせで価値を見直された一例と読める。