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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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「この世をば」千年② ~ 『御堂関白記』も言及か ~ 月齢計算の複雑

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ひと月ほど前に、藤原道長が和歌≪この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 虧(かけ)たることも なしと思へば≫を詠んで千年になることを話題にした(この世をばわが世とぞ思ふ望月の千年 2018/10/16())。
 
その中で、≪この和歌が、道長自身の日記とされる『御堂関白記』でなく、彼に批判的だったとされる藤原実資の日記『小右記』で後世に伝えられた≫と記したのだが、最近、『御堂関白記』研究者を自称する倉本一宏氏の講演予告『「この世をば」千年と『御堂関白記』―――藤原道長の故地を歩く』(鴨東通信 2018.10)を見て、心配になった。
 
そこには≪有名な「この世をば」の歌に触れた道長の『御堂関白記』と、この歌を記録した藤原実資『小右記』を、、、≫とある。問題は道長の“触れ方”だ。残念ながら、その方面には詳しくないので、直ちには確認する能力が無い。宿題としておこう。
 
ところで、上記「鴨東通信」誌には倉本氏のエッセイも載っており、なお書きにおいて、≪~二十二日の月齢が十四・五、二十三日の月齢が十五・五である。月齢というのは正午時点での満ち欠けで計算するので、二十二日から二十三日に替わる直前に月齢十五・〇を迎えることになる~≫とある。
 
この記述は厳密ではない。各日の月齢が正午時点で代表されるのはその通りだが、その数値は小数第2位を四捨五入した概数であり、それらの平均値から月齢15.0の日時を算出しても正確である保証はない。
 
事実、今月の月齢15.0は、23日午前1時付近である。
 
もう一つ、≪~今年の旧暦十月十六日は~現代の暦では二〇一八年十一月二十五日にあたる~≫とあるが、『こよみのページ』によれば、1123日である。旧暦にも複数の種類があることによる食い違いだろうか。
 
前回も触れたところだが、“「この世をば」千年”と言っても、表面上の月日で合せるか、暦制を統一して月日を合わせるか、あるいは十五夜の日に合わせるか、など幾通りもの“千年”記念日があり得る。貧脳がパニックを来しそうなので、この辺りで止めておこう。

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