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東島/与那覇「日本の起源」~天皇推古起源説~目次で読める

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東島誠・与那覇潤「日本の起源」(atプラス叢書05、太田出版 2013/8/29)を読み始めた。出版社のキャッチコピーは次の通り:
 
古代の天皇誕生から現代の日本社会までを貫く法則とは? 歴史学がたどりついた日本論の最高地点。
いつから私たちは「こんな国、こんな社会」に生きているのだろう。どうしてそれは変わらないのだろう。
 
図書館に予約したのはいつだったかも思い出せないが、大変面白い。未だ第1章の途中で、天皇制が話題の中心である。歴代天皇の事績を綴る史書ではなく、天皇(制)の性格をどう理解するかを最新の研究成果に基づいて科学的に語っており、実に新鮮な印象を受ける。
 
天皇制の起源は推古女帝(の時代)にありとの見方は、説得力がある。偶然だが、一昨日の中西説“聖徳太子暦”と時代的に重なるところが興味深い。政治史と思想史とは、絡み合って展開しているということだろうか。
 
目次を眺めるだけで論旨が想像できることも、この本のユニークさである。つまり、目次が、単に事項名を列記するだけでなく、著者の見方を反映する表現を取っていることだ。というわけで、安直ながら、目次をコピペする:
 
第一章 古代篇
起源の天皇は女帝だった/豪族チャンピオンとしての大王/「聖母卑弥呼」は存在したか/科挙を生まなかったマルチタレント登用/はやり歌による革命と桓武天皇の純血作戦/唐物グローバリズムとクールジャパン政策の起源/平安京荒廃が生んだ「かのように」の論理/『芋粥』に見る官治国家の起源/院政がリセットした「二五年間同一内閣」/「空虚な中心」を囲んだ家産官僚/令外官の増設は温泉旅館形式/古文書が語る『文字禍』の世界
 
第二章 中世篇
バッファーの多すぎる国/イエ制度は自然ではない/三国志としての源平合戦/東西分割統治と道州制の起源/戦後歴史学が求めた統治権の理想/貞永式目はマグナ・カルタか/元寇が領域国家の起源/南北朝は何を転換したのか/未完のプロジェクトとしての「江湖」の観念/一揆の傘連判は「空虚な中心」/印判状が作った近代行政の起源/中途半端だった義満と信長/ポピュリスト秀吉と起源のクリアランス
 
第三章 近世篇
東アジアと日本の動乱はつねにリンクする/徳川氏がコピーした皇祖皇宗の神話/中世を終わらせた元禄時代/忠臣蔵はブラック企業の起源/歴史は進歩か、反復か/武家社会が作った「失敗の本質」/公共事業入札と復興予算流用の起源/享保の飢饉が生んだ自己責任論/「災害ユートピア」は現出したか/江戸が示したアソシエーショニズムの限界/アウトローだけが自律する社会/「四民平等」幻想からこぼれ落ちるもの
 
第四章 近代篇
幕末は不真面目な改革の起源/西洋化できずに中国化した明治/「市民」を探した丸山眞男の苦悩/荻生徂徠から進歩しない論壇/元老制はバッファー政治への回帰/議会政治は二党制よりも二頭制/都市を食べさせることに失敗した政党政治/さも自然を作為する社会/日本文化論と「古層」の永久運動
 
第五章 戦前篇
第一次世界大戦に起源を見る/大正デモクラシーは議会制不信の起源/天皇に独占された一般意志/アジア主義に可能性はあったのか/儒教を使いこなせなかった日本人/江戸時代に回帰した「田舎臭いファシズム」/総力戦体制も律令以来の背伸び/古代をも下回った「無責任の体系」
 
第六章 戦後篇
敗戦まで続いていた権門体制/挫折した「天皇に代わるもの」の夢/ウィキ版『太平記』としての歴史論争/日本を変えなかった高度成長と六八年/「大きな物語」の終わりと「津波てんでんこ」のはじまり/八〇年代が隠蔽した長い江戸時代/混乱の平成へ、そして歴史学は何をすべきか
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