某施設のコーラスの会では、今年度に入って独自編集の童謡集を教材に加えている。その中に「どんぐりころころ」があり、二部合唱である。
曲自体は何ということも無いのだが、二番の歌詞中“一緒に”の譜割りが奇妙であった。
どんぐりころころ ドンブリコ お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は 坊ちゃん一緒に 遊びましょう
どんぐりころころ よろこんで しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと 泣いてはどじょうを 困らせた
“い っ しょ に”と均等に譜割りして歌うのが普通だ。
件の童謡集では、楽譜に律儀に従うとすれば“いっ しょ ー に”と歌わざるを得ない。
講師はそのように指導し、受講者たちも(当方を除き)おとなしく従っている。
二部合唱編曲者が敢えて破調を仕掛けたと推定することも可能であるが、曲全体にはそのような意図を窺わせる気配は無いので、これは単なるミスプリであると当方は推断した。
一応、「どんぐりころころ」の原典に当たってみる必要はあると心得て、安直ながらいつもの通り<ウェッブ『池田小百合なっとく童謡・唱歌』による>こととした。
初出本『かはいい唱歌』二冊目(大正13年3月20日発行5版 国立音楽大学附属図書館所蔵/宮城県図書館所蔵)と【コロムビア「日本童謡名曲集」(第2集)の歌詞と楽譜、解説・振付】所収楽譜の画像により、均等割り“い っ しょ に”を確認した。