珍しくヴァイオリニストのMさんが顔を見せたので、某施設の≪歌う会≫に誘った。先月の例会は特に出席したい理由があったのだが、別件の本番と重なって、行けなかった。
まさに開演と言うタイミングで到着すると、空席は前列のみであった。ヴァイオリンは比較的小さい楽器だが、しっかりしたケースに納まると結構目立つ。
終演後、周囲の参加者たちからヴァイオリンを聴きたいとのお声が掛り、どうしたものかと担当係員に訊くと“どうぞどうぞ”と好意的な反応があった。施設によっては、“想定外”の活動を嫌う所もあるのだが、今日は“順調”だった。
何でもいいから弾いて欲しいと言われると案外戸惑うものだ。本人を含めて皆さん迷っているので、今日の演目から「赤とんぼ」を推奨した。楽譜無しでも、ちょうど歌い易い音域で弾いてくれた。ピアノ伴奏とは一味違うメロディーが心地良く耳に入った。
折角楽器を取り出し、チューニングの手間を掛けたのでと、これは当方の一存で、もう1曲クラシックの小品をと促したところ、即座に弾き始めたのは「ユモレスク」であった。馴染みのメロディーで、長さも程良く、皆さんお喜びの様子であった。
気が付くと、≪歌う会≫の講師の方も拍手しておられた。帰り際には施設の所長さんもわざわざヴァイオリニストに謝辞を寄せた。特技を身に付けていると図らずも人のお役に立ったり、喜ばれたりすることがあると改めて思い知ったのが今日の収穫。
そこで、当方も余沢に与りたいと欲張ったわけではないが、皆さん気分を良くしているところで、講師先生に、月1回の訪問コンサートのピアノ伴奏をして貰えるだろうかとご都合を窺ってみた。