偶々図書館で手にした飯高茂「パソコンで開く数の不思議世界」(岩波書店 2004.9)は、なかなか面白かった。本書の核は書名の示す通り、パソコンを駆使しての数学探検である。したがって、プログラミングを活用することが前提となっている。その用意の無い当方にも遊べる格好の話題が提供されていたのは幸運であった。
それは、分数を小数の形に変換することで見えてくる幾つかの現象である。そのうち、循環小数の循環節に先ずは取り組んでみよう。
循環小数:小数部分に、いくつかの数が、同じ順序で無限に繰り返される小数。
例えば、1/37=0.027027027,,,,における「027」が循環節である。
分数の分母が2または5の倍数であるときは、小数表記が有限であるので、循環小数にはならない(000,,,の表記は無視する)。
分母が素数である単位分数の循環小数と循環節の桁数(周期)を例示すれば次のようである:
1/3 0.333,,,, 1
1/7 0.142857142857142857,,,, 6
1/11 0.090909,,,, 2
1/13 0.076923076923076923,,,, 6
1/17 0.05882352941176470588235294117647,,,, 16
1/19 0.0526315789473684210526315789473684210526315789473,,,,18
1/37 0.0270270270270270270270270270270,,,, 3
1/41 0.02439024390243902439024390243902,,,, 5
1/71 0.014084507042253521126760563380281690140845070,,,,,,,35
1/79 0.01265822784810126582278481012658,,,,, 13
1/101 0.00990099009900990099009900990099,,,,,, 4
1/137 0.00729927007299270072992700729927,,,,,, 8
数字遊び人が即座に目を奪われるのは、分母と周期の関係である。
周期は「分母-1」又はその約数となっている。このことは法則として認められているのだろうか。もとの分数の分母と小数表記の循環周期とが何故関係を有するのだろう。
まさに書名の通り≪数の不思議≫である。