講談社のPR誌『本』9月号の特別企画≪熟練校閲者からの挑戦状≫が面白かった。同社の新刊「間違えやすい日本語実例集」の宣伝を兼ねた、用字の間違い捜し問題集である。
初級編10題のうち、“四の字固めが決まって、相手はギブアップした”の間違いが解らなかった。
答は、“四の字固め”→“4の字固め”とあった。これはプロレスに親しんでいなければ解らないようだ。
同音訓別字編では、“今に至ってもまだ黙否を続けている”が解らなかった。黙否が問題なのだろうとは見当がついたが、正解に思い至らなかった。“黙して秘す”だったのだ。
同音異義語編では、“誰しも出所進退は誤りやすいものだ”が出来なかった。“出所”が間違いだとは思ったが、正解“出処”を書けなかった。
“悲しみの縁にあるはずだが頬笑みは絶やさない”は、“頬笑み”→“微笑み”だと早合点した。これは引っ掛け問題で、正解は“縁”→“淵”だった。言われてみれば当然のことだが、見落とした。
成句編では、“恨み骨髄に達する”が解らなかった。“達する”→“徹する”が正解であった。発音、意味共に近い字には騙され易い。
問題としてではないが、≪ことばの変化≫として、「気が置けない」「ジンクス」「鳥肌が立つ」「雨模様」「号泣」などの意味が変化したり、逆の意味で使われたりする傾向に注意を喚起している。
「気が置けない」は如何にも誤解されそうな表現だと思う。読書量が物を言うケースだろう。
逆に読書量だけでは身に付かないものもある。当方など、つい最近まで「真逆」を「しんぎゃく」と思い込んでいた。耳から入ったことが無いためだ