小山信也/著「素数からゼータへ,そしてカオスへ」(日本評論社 2010.12)にざっと目を通した。厳密な数式による記述の部分は眺めるだけにして、解説文を主に読んだ。
盛りだくさんの話題の中に、解析接続からオイラーの“すべての自然数の和は -1/12 である”という公式を理解させてくれる項があった。この不思議な公式については何回も取り上げて来た(数学者・志村五郎③~自然数の和~感嘆符/等号 2015/1/12(月) など)。
小川先生によると、≪自然数の全体では存在した「和」の値が、素数の全体だと無限大になるという帰結は、解析接続は通常の解析学の収束・発散の概念を超えた深さを内包している≫ことを示唆するという。公式の意味についての当方の理解と一致する訳ではないが、裏書きされたような気もする。
逆に本書の記述で納得できない部分もある:
p.15 “自然数の平方の逆数の和が有限であることは、~自然数全体の中で、平方数は「非常に少ない」ということ”
対して、“素数の逆数の和が無限大であることは~素数の個数が単に無限大であるという以上に、ある程度「大きな」無限大であるということ”