特養ホーム・コンサートのプログラムに組み込む季節の歌の選定に毎月思案する。沢山あるようで、いざ今月はどれにしようかと構えると、意外に難航するものだ。その挙句、既往のプログラムを概ね踏襲することになる。
良心が咎めて、せめて何割かは入れ替えねばと苦労する。そして今月は、権藤はな子/弘田龍太郎「お盆が来るから」(お盆が来るから~権藤はな子~弘田龍太郎 2015/6/30(火))を取り上げてみようかと思う。
今月の盆には間に合わないが、来月の所謂“旧盆”の露払いにはなる。
一 機織虫(はたおりむし)の 母さんは
お盆が 来るから 忙(せわ)しかろ
子供が 大勢(おおぜ)で 忙(せわ)しかろ
二 機織虫の 母さんよ
その機(はた) どの子の 着物(べべ)にする
お盆が 来るから ののさまに
子供の きものは それからよ
各節前半は原調通りニ短調とし、後半は転調してニ長調としよう。転調に際して音を取り易く、自然に歌える。弘田龍太郎先生に対して失礼に当たることで申し訳ないが、当節、じめじめした感じの歌は歓迎されないのだ。御寛恕を願うばかりである。
ところで、我が故郷では、盆と言えば8月の行事であった。今でも親族が集うとすれば8月である。この8月の盆を旧盆(きゅうぼん)と称して、7月の盆と区別すると思うのだが、そうだとすると、後者は新盆(しんぼん)ということになる、と永年思い込んでいた。
一方、新盆をにいぼんと発音することを知らなかったわけではない。その意味も薄々とは知っていた。
旧盆、新盆(しんぼん)、新盆(にいぼん)の使い分けが急に気になってウェブ辞書を参照したところ、
旧盆 陰暦で行う盂蘭盆(うらぼん)
新盆(にい‐ぼん) その人が死んで最初の盆。初盆(はつぼん)。あらぼん。しんぼん。
ということで、“新暦による盆”の意味は無かった。
旧盆と新盆(しんぼん)は対語ではなかったのか。
思い返せば、“旧の盆”、“新(しん)の盆”と言い分けていたような気もする。数十年も前の日常会話となると、記憶も頼り無い。