雨の閑中、ボーっとしていると、“明るい雨”という言葉が浮かんだ。歌の題のように感じられたので、検索すると、あった:
明るい雨 作詞:西沢義久/作曲:万城目正/歌唱:近江俊郎 1951年
(一)
誰かににたひと 傘さして
駅の時計を ながめてた
~ ~ ~
赤い屋根青い屋根 新緑の並木
あゝ 明るい雨 明るい雨
(二)
吐息にけむる ガラス窓
ランチタイムの ビルの窓
~ ~ ~
赤い屋根青い屋根 水色の空よ
あゝ 明るい雨 明るい雨
(三)
いつかふたりで 来た丘を
バスにゆられて こえてゆく
~ ~ ~
赤い屋根青い屋根 銀色の道よ
あゝ 明るい雨 明るい雨
何故この歌が記憶の片隅にあるのか、念の為、我がPC内にも検索を掛けたところ、ミュージック・ライブラリなるフォルダーにレコード音源が納まっていた。再生すると、確かに聞き覚えのあるメロディーであった。取り込み日時は僅か4年前と記録されている。全く覚えていないというのも恐ろしいことだ。
雨の湿っぽさと題の明るさとが微妙にミックスされた曲風である。転調する点を無視しても、短調とも長調とも判じ難い不思議な印象を受ける。そんな面白い歌だが、現代人好みではないこと請け合いだ。
歌詞2番に“ランチタイム”とある。当時(67年前)の新語か、流行語か、それとも夙に日常語と化していたものか。結構新鮮なカタカナ言葉と認識していた当方が如何に時代遅れであるかを思い知らされた気もする。
もう一つ気になる言葉“銀色の道”が3番にある。この題の歌はよく知っている。近年人前で合唱したこともある。ウィキペディアによれば、≪1966年に発表された日本の楽曲である。ザ・ピーナッツとダークダックスとの競作となった≫とのこと。
この歌の中の“銀色の道”は当方には難解である。唐突感もある。
対して、「明るい雨」の中の“銀色の道”は位置づけが明瞭である。色彩語の列に納まり、調和している。
レコードに吹き込んだ近江俊郎(おうみとしろう)の生没データが(1918年 7月7日 - 1992年 7月5日)というのも不思議なタイミングだ。