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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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二十歳のエチュード ~ 新入生にすすめない本 ~ 今夜、すべてのバーで

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先だって、東大出版会の広報誌の4月号(UP2018-04)に東大教師が新入生にすすめる本のリストが掲載されているのを取り上げた大菩薩峠新入生向け東大教師推薦 2018/4/20())。
 
続く5月号を月遅れで読んだら、≪東大教師が新入生にすすめない本 その二≫というのが載っていた。書いたのは、ひと捻りもふた捻りもしたエッセーを得意とする佐藤康宏先生(日本美術史)で、ご担当の連載[日本美術史不案内]の第108とある。イメージ 1
 
≪その二≫とあるから≪その一≫が先行している筈だが、見落としたようだ。検索すると、昨20175月号目次に、“ [日本美術史不案内]96 東大教師が新入生にすすめない本”があった。
 
今回佐藤先生が≪すすめない本≫として推薦したのは、①原口統三『二十歳のエチュード』と②中島らも『今夜、すべてのバーで』の2冊である。
 
原口は、(旧制)第一高等学校の学生で、ランボーを実践的に読もうとし、自らの詩をすべて焼却し、逗子の海に入水自殺したのだそうだ。『二十歳のエチュード』は、彼が友人に出版を託したノートだという。自殺した学生の遺著となると、それを新入生にすすめる教師はいないだろうと想像されるが、読めば思考を刺激し、思索を促すほどの内容なのだろう。
 
中島らもは、“泥酔し、階段から転落して脳挫傷で逝った”“緩慢な自殺を望んだ”人だと述べている。『今夜、すべてのバーで』は、アルコール中毒についての文献を読み漁りつつアルコール中毒になった男が主人公の小説だそうだ。
 
どちらも、文部省や教育委員会の御推薦を受ける良書には入らない、むしろ危険書の部類なのだろうが、実社会での確かな判断力を身に付けるには、問題提起のある本も読むのが善いとのお考えで、佐藤先生は≪すすめない本≫を巧みに推薦したようだ。
 
老生も遅まきながら読んでみようかな。

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