整理する能力に問題があり、楽譜が溜る一方で山積みになっており、手が付けられない。所有していることがはっきりしている楽譜でも、図書館の楽譜集からコピーして来る方が簡単なことが多い。
市販の楽譜集に収められていない、あるいは、楽譜集自体が稀覯本である場合には、面倒でも紙の山を掻き分けて目的の楽譜を捜しだそうとする。
極めて能率の悪い探索作業の合間に、自分でも忘れてしまっている資料が目に付いて脱線することがあるから、ますます仕事が捗らない。
脱線作業ではあるが、たまには“新発見”の僥倖に恵まれることもある。今日は、門馬直衛 編「世界音楽全集 12 世界民謡曲集」(春秋社 S5.6.10)の中に、“Summer is a coming in 夏は来って”を見付けた。予想通り、“Sumeris icumen in”(Sumer Is Icumen In~夏は来ぬ~百編意自ずから 2013/6/24(月))と同じ曲であった。
タイトルが現代英語に変わっているが、“acoming in”と古風を装っている。
Summeris a coming in
Summer is a coming in, Loudly sing, Cuckoo!
Meadows green around are seen, Bespangled o’er with dew!
Sing Cuckoo! Young Alain, The shepheadswain,
Is gathering violets blue.
He will carry wreaths to Mary, Glad asthou, Cuckoo!
Cuckoo, Cuckoo, We wlcome thee, Cuckoo,
That wak’st the world anew.
夏は来りて
夏は来りて 鳥歌ふ 牧場緑に 露に映ゆる
うれし! すみれ摘めよや 乙女のため
贈れ 花の環(わ) 乙女は待つ!
カッコウ、カッコウ、うれしや、カッコウ、
躍るよ 胸。
上記原詩中“shephead”は“shepherd”の誤りと見るのが妥当だろう。“Alain”は若い牧童で、“Mary”の恋人という設定だろう。訳詞には反映されていない。
曲譜はニ長調、6/8拍子、Andantino 、後奏4小節を含み全28小節となっている。
解説には、13世紀の作とされるイングランド民俗歌曲で、本来6声部のカノンであるが、独唱用に編曲したとある。