ちょうどひと月前、クラシック歌手の訃報に接した:
ソプラノ歌手の平山美智子さん死去 2018年4月4日14時50分
平山美智子さん(ひらやま・みちこ=ソプラノ歌手)が1日、ローマ市内の自宅で死去、94歳。
東京音楽学校(現・東京芸術大)声楽科を卒業後、53年にイタリアへ留学。欧州各地でオペラ「蝶々夫人」などに出演する一方で、現代音楽の歌い手として活躍した。特にイタリアの作曲家ジャチント・シェルシとの共同作業が高く評価されている。(朝日新聞デジタル)
当方馴染みの歌手ではなかったが、おぼろげな記憶があったので、過去のメモを検索したところ、5年前に話題になっていたお方であった:
≪平山美智子(1923年7月13日-) 現役の90歳クラシック歌手
音の源流探訪 1953年にローマに渡り60年、宗教音楽から現代音楽まで
イタリア・ローマに渡って60年になる。今年で90歳。イタリアの作曲家、ジャチント・シェルシ(1905~88年)の作品を中心に、まだ現役(日経2013/8/22付朝刊)
1960年からローマを拠点に活躍。イタリアの現代作曲家からその表現力を高く評価され、多くの作品を贈られ、初演してきたことで知られる。(2013年6月18日 読売新聞)≫
高齢(当時満90歳)にして現役、しかも“国際的”に活動中の歌手ということで取り上げられたものと思われる。今回の訃報に刺激されて、彼女の歌唱を聴いてみたくなり、近所の図書館を調べたところ、CDが1枚所蔵されていた:
「曼珠沙華(ひがんばな)~平山美智子 山田耕筰を歌う」(カメラータ・トウキョウ 20150225、録音2013.12)
【曲目】
松平頼暁/宇佐見英治:「歌う木の下で」
[1]すべての猫族がいう、[2]青いスピノザ、[3]信州の泉
早坂文雄/佐藤春夫:[4]うぐいす~「春夫の詩に拠る4つの無伴奏の歌」より
山田耕筰:[5]この道(北原白秋)、[6]かえろかえろと(北原白秋)、[7]かやの木山の(北原白秋)、[8]待ちぼうけ(北原白秋)、[9]赤とんぼ(三木露風)、[10]カッコ鳥(野口雨情)、[11]鐘が鳴ります(北原白秋)、[12]からたちの花(北原白秋)、[13]葱坊主(西條八十)、[14]六騎(北原白秋)、[15]青蛙(三木露風)、[16]曼珠沙華~歌曲集「AIYANの歌」より(北原白秋)
湯浅譲二/長田弘:[17]おやすみなさい
満90歳記念の年にイタリアで録音したものである。記念シンポジューム・コンサートもローマで開かれたそうだ。
聴いてみると、失礼ながら、ご高齢の割には綺麗なお声でいらっしゃるのは、さすが現役を称する自信の所以である。高音は二点ソ辺りまでと聞いた。声や技術の劣化は改めて記すまでも無い。
歌曲を味わうことは主目的でない、記念CDである。人生百年が喧伝される今、当方など後進に希望を持たせ、意欲をかきたててくれる業績だ。
自分の年齢を意識して、ご高齢でご活躍の方々への関心が高い: