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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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「死のサハラを脱出せよ」~ 女流飛行家キティ・マノック ~ 創作話

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クライブ・カッスラー著、中山善之訳「死のサハラを脱出せよ」(新潮文庫 1992、原題 SAHARA)上・下を図書館リサイクル本で読んだ。娯楽小説として文句なく面白い。


砂漠を独り旅する老探鉱師が「クレメンタイン」を口ずさみ歩く場面があり、あの歌が今も生きていることが読み取れて、嬉しくなる。


荒唐無稽とも言うべき要素が多いようだが、適度に科学性もあり、史実も上手に取り込んでいて、読み手を引き込む。
 
その史実という側面だが、創作との境界が曖昧なまま読み終わり、どうも落ち着かなかった。
 
南北戦争末期に北部のリンカーン大統領が南軍に捕われ、大西洋を渡り、アフリカ大陸ニジェール川中流で座礁した甲鉄艦内で乗員と共に果て、131年後に発見されるなどというのは創作であること自明である。
 
しかし、“世界的に有名な”キティ・マノックなるオーストラリアの女流飛行家が1931年、ロンドン・ケープタウン間の長距離飛行中にサハラ砂漠付近で消息を絶ち、半世紀以上手掛かりなしという事件については、あっても不思議ではないと思われ、ネット検索した。
 
ヒットする情報は、どれも本作品との関連で、史実としては見当たらなかった。しかし、創作であるとのお墨付きも得られなかった。
 
そこで、キティ・マノックの原作での表記を推測し、英文検索したところ、次のような項目が見付かり、フィクションであると判った:
 

Dayna Cussler -Wikipedia  https://en.wikipedia.org/wiki/Dayna_Cussler

She also played the role of KittyMannock in the 2005 film Sahara, a fictional record breaking Australianpilot of the 1930s who was lost without a trace in the Sahara desert, and whosebody and plane were found by Dirk Pitt. That film was an adaptation of herfather's novel Sahara, and starred Matthew McConaughey, ...

 
このような事件があっても不思議ではないと思わされたのは、アメリア・イアハートが世界一周飛行中に太平洋で失踪した事件(1937)があったからだ。この件については今でも時々マスメディアに取り上げられることがある。
 

日本語として意味不明な部分や、誤訳と思われるものもあるが、ヴォリュームたっぷりの外国小説を翻訳する人の能力には敬服する。

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