宮沢賢治が小説「大菩薩峠」の愛読者だったらしいことが当欄昨日の記事の原点となっている。当方も小・中学生の頃(1955年前後)、大きなつづらに詰め込まれた多数の巻本を読んだ記憶がある。戦前、伯叔父たちが購読したものだと聞いた。
娯楽・時代小説としか認識していなかったこの「大菩薩峠」が、何と≪東大教師が新入生にすすめる本≫のリストに名を連ねているのを見つけた。東大出版会の広報誌の最新号(UP2018-04)に載ったもので、推薦者は荒木裕行氏(史料編纂所助教/日本近世幕藩関係史・幕政史)である。推薦の辞は概ね次の通り:
≪1913~1941年の長期にわたり新聞などに連載された。大衆小説の隆盛に大きな影響を与えた。幕末に剣客、新撰組、旗本、盗賊、医者など多彩な人物が織りなす物語。大正から昭和戦前期の庶民文化を手軽に経験できる。文庫本20冊相当の超長編なので、時間に余裕の取れるうちに読むことをすすめる≫
ちなみに、荒木先生は、「大菩薩峠」を≪私の読書から――印象に残っている本(専門に限らず自由に)≫というジャンルで推薦している。