先月、2月11日の建国記念日を期して開かれたフォーラム「周年の祝祭」という行事の資料の中に、≪(1940年)、紀元二千六百年記念行事の一環として、歌謡の制定や新作発表会が行われる。12月の「紀元二千六百年奉祝楽曲発表演奏会」は、政府と音楽界が協同して企画したものであった≫と記されていた。
上記資料では更に、≪皇紀2600年に関係する音楽としては、まず1938年に「紀元二六〇〇年の意義を闡明する」音楽として、東京音楽学校が作詞・作曲した「紀元二千六百年頌歌」と翌1939年には~公募~選考された~「紀元二千六百年」が制定された≫とある。
後者の「紀元二千六百年」は小生幼少の頃(戦後であるにも拘らず)聞き覚えた歌である。しかし、前者「紀元二千六百年頌歌」には全く心当たりが無かった。作曲は、自筆譜が発見されたため、信時潔によると書かれており、彼の作品をひと頃集中的に取り上げた実績を(おこがましくも)自負する当方としては内心穏やかではない。
改めて記すと、東京音楽学校作(作詞増田好雄/作曲信時潔)「紀元二千六百年頌歌」(副題「紀元二千六百年奉祝会の歌」)である。ネット上、幾つものサイトに音源が公開されている。合唱(斉唱)もあれば、独唱もある。聴いてみると、特段印象の強い曲ではない。「紀元二千六百年奉祝会の歌」という副題は、「恩賜財団紀元二千六百年奉祝会」の歌を意味すると思われるから、団体歌の性質上、一般に愛唱されるような曲には作られなかったものだろう。
歌詞も古風で難解、取っ付きにくい:
1 | 遠すめろぎのかしこくも | 3 | 大わだつみの八洲路の |
2 | あを人草に い照る日の |