大変なコンサートを聴いて来た:
♪ さよならロシア歌曲!東京藝術大学声楽演習Ⅲ第20回発表会
最後のロシア歌曲&オペラ
日時 2018年2月20日(火) 15~21時予定
会場 東京藝術大学内第1ホール
指導&監修/一柳富美子先生 ピアノ/奥村志緒美 高野泰輔 過去のTA総出演
今年度在籍生34名・卒業生10名出演予定
プログラム予定
第1部15:00 歌曲
第2部16:30 オペラアリア・ガラ
第3部18:00 卒業生コーナー
第4部19:00 演奏会形式ハイライト《エヴゲーニイ・オネーギン》
(日本初演作品あり)
入場無料・出入り自由・全曲字幕解説付き
“ さよならロシア歌曲!”とか“最後のロシア歌曲&オペラ”とか、何やら曰く有りげなキャッチコピーに惹き付けられた。実のところ、その真意は掴めなかった。後で解ったのだが、どうも藝大の一柳富美子先生の担当するロシア歌曲講座が廃止されるらしい。ちょうど10年続いたそうだ。
先週木曜日の発表会の際に、当会メンバーHさんからの情報で知ったもので、世間一般には広報していなかったようだ。チラシの類いも無かったので、“前半の声楽の部”を聞いたら退散しようというくらいに気軽に考えて出掛けたのだが、会場でプログラムを見ると、全篇これ声楽尽くしと判明した。
プログラム途中で帰ることなど考えられなくなり、結局6時間、ロシア歌曲及び解説を浴びることになった。一柳さんはロシアの文学と音楽を極めた方で、歌曲やオペラの生き字引のようであった。出演者は伸び盛りの若い人たちで、その声を聴くだけでも心地良い。
学部や修士課程の人たちのレベルも高いが、本日の白眉は博士課程1年生と言うソプラノの小玉友里花さんであった。コンサート形式ながら、迫真の演技も素晴らしかった。皆さんのロシア語暗譜にも驚かされる。10分、20分の長丁場でもよどみなくロシア語で歌うには、並々ならぬ努力が必要だろう。
“日本初演作品あり”とは、≪チャイコーフスキー/ウンディーナの歌≫であった。聞き違えが無ければ、2年前にチャイコーフスキーの紙屑束の中から楽譜が見付かったそうで、モスクワとウィーンで各1回演奏されただけだとのこと。楽譜を実見した日本人は一柳さんだけだろうとも。本日歌ったのは上述の小玉さん。
それにしても、藝大でロシア歌曲を学ぶ若い学生さんたちの揃い踏みは壮観だ。世代を通して日本全体で眺めれば、如何に声楽界の層が厚いか、想像されるというものだ。翻って、自称アマチュア声楽家たる己が急に卑小に思われてくる。
ところで、6時間もぶっ通しで芸術鑑賞に浸ったのは、記憶する限りでは、(五十年以上前の)学生時代のオールナイト映画以来ではないか。絶後に違いない。
会場で≪らすぺふ≫時代のHさんから声を掛けられてびっくりした。彼はロシア通だから来ていて不思議は無いのだが、想定外であった。
訂正:“日本初演作品あり”については、勘違いだったようだ。訂正報は21日付けで。