先日、キリスト教関係の書評月刊誌『本のひろば』2018年2月号を見ていたら、「こころの賛美歌・唱歌」の紹介が目についた。
≪たとえば「埴生の宿」は明治36年版『讃美歌』で「わずらい多き世の中にも」という歌詞で~
フォスター作曲の「故郷の人々(スワニー川)」も~「花よりも愛(め)でにし」という歌い出しで取り上げられています。~≫
など、当方好みの内容に引き付けられる。
≪~『讃美歌21』には惜しくも継承されなかったあの讃美歌です。
「まぼろしの 影を追いて うき世にさまよい うつろう花にさそわれゆく 汝(な)が身のはかなさ 春は軒の雨 秋は~」≫とあるのにビックリする。
歌い出しが≪まぼろしの 影を~≫と来れば、自動的に古賀メロディーの流行歌「影を慕いて」を思い出すところ、続く歌詞≪~追いて≫にズッコケる。(昭和)54年版『讃美歌』五一〇番とある。明治36年版『讃美歌』に登場したという。
クリスチャンにとっては常識なのかも知れないが、当方には驚きの新情報だ。古賀「影を慕いて」は1932年3月発表らしいから、≪まぼろしの 影を≫はその約30年前に既に世に出ていたのだ。古賀は、この気の利いた文句を安直に踏襲したのかどうか、はともかく、≪~追いて≫の賛美歌を知りたくなり、手許の『讃美歌第二編』(1989.4.1 136版)に当たってみた。ちゃんと載っていた:
まぼろしの影を追いて讃美歌510番 Lyrics Frank A.Breck 1895、Music H.L.Gilmour1895
まぼろしの影を追いて
うき世にさまよい
うつろう花にさそわれゆく
汝が身のはかなさ
春は軒の雨、秋は庭の露
母はなみだ乾くまなく
祈ると知らずや
おさなくて罪を知らず
むねにまくらして
むずがりては手にゆられし
むかしわすれしか
春は軒の雨、秋は庭の露
母はなみだ乾くまなく
祈ると知らずや
汝が母のたのむかみの
みもとにはこずや
小鳥の巣に帰るごとく
こころやすらかに
春は軒の雨、秋は庭の露
母はなみだ乾くまなく
祈ると知らずや
いつまで世にあらん
とわに悔ゆる日のこぬまに
とく神に帰れ
春は軒の雨、秋は庭の露
母はなみだ乾くまなく
祈ると知らずや