青山透子「日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る」(河出書房新社 2017.7)を読んだ。日航123便墜落事故には当時から強い関心を持っており、当欄でも過去に取り上げた(日航機墜落特番~公式報告追認~消化不良、8.12日航機墜落~米軍誤射説~ともだち など)。
この種の本は、見れば読みたくなる刺激的な表題を付ける。見え見えの販売戦術に今回も嵌ってしまい、図書館に予約をしたのは何か月前だったか思い出せない。区の図書館全体では7,8冊備えられており、すべて貸出中だ。
何が新事実なのかよく解らず、期待したほどの確かな事故原因が示されたわけでもなく、著者の家系や職歴への思い入れが滲み出ている印象が残った。
とは言え、独自の取材を重ね、個人の手に余る厖大な資料、情報をよく整理し、事故の概略を解り易くまとめた努力は認められる。当方など、そのような根気、気力はとっくに失せている。
本論から外れるが、次のようなエピソードが紹介されている(p.71):
≪(事故後、日本航空は)20時30分、、羽田東急ホテルに乗客の家族控室を設置した。そのホテルで、乗客(ママ)に詰め寄られた町田直副社長(運輸省からの天下りで元運輸事務次官)は、思わず(ママ)「北朝鮮からのミサイルに撃たれたのだ」と叫ぶ。その数日後、町田氏は社長候補だったにもかかわらず『遺体安置所にて扇子で仰ぐ(ママ)姿』を写真に撮られて失脚する≫
≪北朝鮮のミサイル≫は、今でこそニュースや話題になっているが、32,3年も前に既にその脅威が現実味を以って語られていたのだろうか。あるいは、町田氏に先見の明があったのだろうか。いずれにしろ、一般の国家公務員として頂点に上り詰めた上、国策会社の次期社長と目されるほどの人物が訳も無く≪思わず≫口走ったとは考えない方がよいのではないかと思われる。
つまり、その時点で既に、日航123便は≪ミサイル誤射≫など外部要因で墜落したことが関係要人には知られていた可能性があるのではないかと考えられる。誤射した可能性のあるのは、米軍か自衛隊しかないが、それは口が裂けても言えない。そこで、つい、≪北朝鮮≫と口を辷らせたのではないか。