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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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ベートーヴェン ~ 後期弦楽四重奏曲 ~ カルロ・ロヴェッリ②

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一昨日取り上げた「世の中ががらりと変わって見える物理の本」カルロ・ロヴェッリ宇宙観時間は熱移動)に≪ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲≫なるグループ概念が一度ならず使われていたと記憶する。欧米の知識人には常識的なまとめ方なのだろうか。特別に美しい芸術作品群と考えるらしい。

 
気になるので検索したところ、≪「ベートーヴェン弦楽四重奏曲 中・後期8曲演奏会」心に染み入る深い精神世界に浸る≫という日経の音楽時評(編集委員 池上輝彦 2015/1/15)に当たった。ほぼ3年前の大晦日に、東京文化会館で、ベートーヴェンの全交響曲連続演奏会(大ホール)と中・後期8弦楽四重奏曲演奏会(小ホール)が同時開催されたのだそうだ。
 
時評の中から、後期作品群のイメージの湧く部分を引用する:
 
≪~演奏会に先立って午前11時半から1時間余り、東京文化会館の会議室で「ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を語る」と題した入場無料のレクチャーがあった。作曲家兼ピアニストで東京芸術大学教授の野平一郎氏ら3人が、ほぼ満席の会場で講演した。
 
慶応義塾大学教授の平野昭氏は「後期の弦楽四重奏曲は『第九』の後に作曲された」と強調し、「フーガと変奏曲が重要な形式になっている」と語った。
 
東京芸大教授の土田英三郎氏は「後期の作品群はシューベルトが一連の弦楽四重奏曲を書いた後に作曲された」と指摘した。「第九」後、シューベルト後のベートーベンの集大成なのだ。弦楽四重奏曲の方が大みそかにふさわしいではないか。
 
 小ホールは満席とは言い難いが、熱心に耳を傾けている年配の客が多い。演目は中期の第79番から始まり、後期の第1216番と続く。~
 
ひとりで来ている年配の客が多かった。静かに心に染み入るベートーベンの後期の弦楽四重奏曲は、単身の高齢者が増えるにつれてもっと聴かれるようになるかもしれない。隣の大ホールでの「第九」も、NHKの「紅白歌合戦」もまだ終わっていない夜10時前、コートの襟を立てた人々が、それぞれの除夜の鐘の鳴る方へと歩き始めた。≫
 
要するに、楽聖ベートーヴェンの作品の最高峰に位置するものという評価らしい。
 
カルロ・ロヴェッリさんは、相対性理論や量子理論の理解を≪後期弦楽四重奏曲≫の美しさを解ることになぞらえているのだが、どちらが易しいだろうか。
 
そもそも、物理学と音楽を対等に論じられること自体が、特別の才能に恵まれていることを意味するのではないかと思われるのだが。

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