春だからというわけでもないだろうが、自分が間抜けで、口惜しい思いをすることが多い。悧巧に振る舞ったつもりが、実はそうでもなかったと後で判り、自己嫌悪に陥るのだ。鬱にならないよう、精々歌の世界に嵌っていよう。
というわけで、今週も副都心のランチタイムコンサートを楽しんできた:
第348回 私の絶望を彩る光と華
伊藤光(ソプラノ)/矢口智恵(メゾソプラノ)/豊田華子(ピアノ)
伊藤光(ソプラノ)/矢口智恵(メゾソプラノ)/豊田華子(ピアノ)
Aプログラム12:05~
花の二重唱 ドリーヴ《ラクメ》から
市の花屋 深尾須磨子/高田三郎 歌曲集《パリの旅情》から 矢口
さくら横ちょう 加藤周一/別宮貞雄 歌曲集《二つのロンデル》から 伊藤
アヴェ・マリア ヴェルディ《オテロ》から 矢口
空深くかかる月よ ドヴォルザーク《ルサルカ》から 伊藤
Bプログラム12:35~
二重唱 オペラ《ヘンゼルとグレーテル》抜粋 フンパーディンク
歌手お二人のお歳は判らないが、多分若手に属するのだろう。大した実力をお持ちだ。何と言っても、声量豊かで、高音域にも余裕の感じられるところが良い。矢口も、メゾとは言いながら、並みのソプラノが真っ青になりそうな声域の広さだ。
別宮貞雄の「さくら横ちょう」は初めて聞いたような気がする。中田喜直の作曲した方は度々聴いた。別宮版は、聞いた印象ではとても難しそうだ。難しくて長い。だから普段のコンサートではあまり取り上げられないのかな。裏返せば、伊藤の実力と、今日の意気込みを汲み取れるということか。
後半の《ヘンゼルとグレーテル》は、ちょっとしたミュージカルだった。突っ立って歌うだけでなく、動き回って多様な演技をするのだから、体力勝負だ。実際、中間に息を整える場面を用意していた。やはり、身軽な若手でなければこなせないプログラムだ。