前回の<ABC予想>に関する投稿中、朝日新聞から引用した説明図は、解り易いものの、予想の焦点がボヤケていないかと危惧する。
正の整数a、b、cがあり、a < b で a + b = c 、a*b*c = d として、c とd の大小関係を見ると c <d は自明である。
ここで、d の定義を変えて、rad(abc) = d として、改めて、c とd の大小関係を見ようというのが<ABC予想>の視点ではないのか。ただし、rad(abc)は、a、b、c それぞれの素因数の積を表わす。各数自体の積に較べれば素因数の積は小さくなるのが一般的だから、c とd の大小関係は一概には言えない。
朝日新聞で取り上げたa=1、b=8、c=9、d=6の事例は、c >d となる稀な例である。そのような稀な例にあっても、rad(abc) 自体ではなく、その何乗かを取れば、(対応する係数Kを乗じることで)必ずc <d となるだろうというのが<ABC予想>だと理解したのだが、どうだろうか。
実際には、その≪何乗か≫として2乗、Kとして1を取った場合にc <d が常に成立すると予想されているようだ。
なお、ニュース報道では、<ABC予想の証明>との表題が躍るが、望月教授の論文は、≪宇宙際タイヒミュラー理論≫を提示するもので、<ABC予想の証明>は、“そのついで”の成果であると言われる。