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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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音楽の冗談② ~ モーツァルト ~ 鏡のカノン

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昨日のコンサートは毎年恒例となっているもので、当方は昨年に続き2回目の鑑賞である(音楽の冗談モーツァルト鏡のカノン2016/12/11())。今回は終演後の喫茶タイムのコーヒー券100円也を上手に奨められた。
 
~クラシックコンサート~
ホワイトフェスタ

12月9日(土)午後1時半~3時まで

出演:アンサンブル・フリージアJr

曲目:モーツァルト作曲 アレルヤ、 ベートーヴェン作曲 第九交響曲より  その他

*終了後、喫茶タイムあり(有料)
 
 
昨年と同じ、モーツァルト作と島根朋文作の「音楽の冗談」が演奏された。続いて、同題の島根恵作が“世界初演”された。
 
モーツァルト作「音楽の冗談」と紹介されたものが「鏡のカノン」であることを昨年の当欄鑑賞記で述べ、その確認を取ったことを2か月後に追記したところである。
 
然るに、昨年と全く同じようにモーツァルトの「音楽の冗談」として紹介されたのにはびっくりした。当方の質問は出演者側には通されていなかったのだ。うるさい客に辟易した会場(主催者)側が独断で幕引きを図ったようである。
 
とは言うものの、当方も改めて「鏡のカノン」と「音楽の冗談」の事実関係を調べてみる必要があるようにも思われた。モーツァルト作「音楽の冗談」の音源は21分ほどの長さがあるので、その一部が「鏡のカノン」であるかもしれないからだ。実際に聴いてみると、そうではなかった。
 
ネット検索すると、あるサイト(http://penguinlab.jp/blog/post/85)に、よくお調べになった結果が記されていた:
 

≪作曲家、芥川也寸志・著の「音楽の基礎 (岩波新書)という本のP.45に「Mozart: Violin Duet」とだけ書かれた曲の楽譜が載っている。 

 
この楽譜は、上下どちらからでも読む事が可能で、二人のヴァイオリニストが向き合って、楽譜を奏者の間に置いて、各自の方向から楽譜を演奏していくことで、二重奏になるという面白い趣向の曲だ。
 
通称は「Mirror canons(for 2 Violins)」「Table canons (for 2 Violins)」「Der Spiegel」「Spiegelkanons」など。日本語では「鏡」「鏡カノン」。
 
ケッヘル番号(モーツァルトの作品目録番号)は「K.Anh C10.16」。Anh.Cは偽作、あるいは偽作と疑わしいものを示すらしい。
 

ハイドンの作品目録である、ホーボーケン目録の中に、偽作として「Ein musikalischer Schertz(音楽の冗談)」(Group VI: G4)と呼ばれるヴァイオリン二重奏曲がある。この曲の論評で、EisenstadtSandor Wolf図書館に同様の「音楽の冗談」があるとしている。タイトルは「Duo facile et Curieux pour deux Violons parMr. Mestrino(メストリーノ氏による、2つのヴァイオリンのための平易で奇妙な二重奏曲)」。この曲の初めにある、29小節の鏡像カノンが、K.Anh C10.16Nr.4と同一である。

 

ホーボーケン目録に載っている「Ein musikalischer Schertz」(ハイドン作、と書かれているはず)と、「Duo facile et Curieux pour deux Violons parMr. Mestrino」(Mestrino作)が全く同じ内容で、その初めの曲がK.Anh C10.164番と同じ、ということでいいのかしら。≫ 

 
この記述の通りであるとすると、「音楽の冗談」は、ハイドンあるいはメストリーノの作とされて然るべきであり、モーツァルト作とするのは謬説(然るが故に作品番号K.Anh C10.16が付される)ということになる。ただし、楽譜又は音源による確認は未だ取れない。
 
一方、モーツァルトの真作として“Ein Musikalischer Spaß, K.522”(1787)があり、これも「音楽の冗談」と訳される。
 
以上の事情により、「鏡のカノン」をモーツァルト作「音楽の冗談」と錯覚することになったのではないか。ヨーロッパにおいても同様の勘違いがあったことは、当然に与っているだろう。

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