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岡田英弘氏② ~ 王岐山氏 ~ 周近平氏

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ちょっと古い話になるが、五月末ごろ、ある歴史学者の訃報が流れた:
 
≪岡田英弘氏が死去 歴史学者 2017/5/3020:15
岡田 英弘氏(おかだ・ひでひろ=歴史学者)25日、心不全のため死去、86歳。連絡先は藤原書店。告別式は近親者で行った。喪主は妻で歴史学者の宮脇淳子さん。 1957年、日本学士院賞を受賞。中国史をはじめ、世界史を幅広く研究した。著書に「歴史とはなにか」など。≫
 
藤原書店は、岡田氏の著作を刊行してきた縁で、ここに連絡先とされたものだろう(モンゴル帝国~世界史の始まり~岡田英弘 2013/11/12())。同社のPR誌『機』6月号(2017.06.15)は後記(標題は出版随想)で岡田氏の逝去を報じると共に、その業績の割には注意を払わない日本の学界やメディアへの苛立ちを滲ませている。
 
その一節に次のようなエピソードが紹介されている:
 
≪一昨春、中国国家主席習近平の側近中の側近、王岐山氏が、故青木昌彦氏やフランシス・フクヤマ氏の前で、「日本に岡田英弘という優れた歴史家がいる。岡田英弘とは、、、、」と外国人記者らの前で講演した。そのニュースは、英語で世界にネットで流された。弟子のハーバード大教授のマーク・エリオット氏からも早速岡田氏に連絡があったと聴く。ところが、わが国の新聞や放送の報道は皆無。唯一、日経がベタ記事で報じたのみ。~中国への賛歌ではなく批判(クリティーク)してきた日本の一学者を、当の中国が認め、世界に紹介している事件を、なぜ日本は報道しないのか?≫
 
逝去のタイミングから、大急ぎで起案した後記であることは明らかで、文章にチグハグな点が散見される。その後、北京、台湾、香港などから翻訳出版依頼や問い合わせが続いているとも記している。
 
唯一褒められた日経は、さすがに中国関係に強いのか、適当な間隔で王岐山についての解説や消息(最近、失脚説も囁かれた)を報じている:
 
≪「七三=王岐山」検閲と削除が示す激闘 中沢克二 2017/8/306:30 日本経済新聞 イメージ 1
「七三は海辺散歩の後、消えた?」~王岐山の動静は8月前半の北戴河会議を挟んで長く不明だった。党大会で最高指導部に留任するのかどうか、世界が注視する人物だけに、様々な臆測が乱れ飛んだ。米国からは政商、郭文貴が王岐山の妻ら家族の“腐敗”を告発し続けている~
 
 その王岐山が久々に登場した。8月24日午前、北京・八宝山での老幹部の告別式だった。王岐山は他の最高指導部メンバーと共に参列した。王岐山に近いとされる女性編集長が率いる中国経済誌「財新」のインターネット版が記事を流した。24日夕発信の財新のニュースは、瞬く間に中国内に広がった。~
 
 郭文貴のせいで、王岐山の進退は習の力量を図るバロメーターとなった。「王岐山への攻撃はすなわち習への攻撃だ。王岐山が引退に追い込まれるなら、習の力もその程度にすぎないと判断される。盟友さえ守れないのか、と。それが中国人の考え方だ」。~
 
 「財新」が報じた8月24日の王岐山の動静は、「七三」と違ってネット上の削除の対象にならなかった。とはいえ国営の新華社通信、中国中央テレビなどは王岐山の動静に関して沈黙を続けている。「彼が雲隠れした後、公式の場に姿を現すと必ず大きな事件が起きる」。そんなジンクスがある。7月の孫政才失脚もそうだった。党大会までに、もう一山あるかもしれない。≫
 
ここに言う党大会とは、中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)のことで、今秋に開催される予定とのことであるが、日程は未だ公表されていないらしい。党内の権力闘争渦巻く中で、大会のシナリオが固まらないということか。
 
王岐山は高齢なので習近平の後釜には擬されないが、その去就が 習自身の長期政権実現に連動するとの理論が有力らしいから、習さんも王さんの処遇に迷っているのかも知れない。王さんが失脚するとなった場合、岡田氏の業績を持ち上げたことが一因とされる可能性もある。
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