当「愛唱会」には根拠地とも言うべき固定的な練習会場が無い。弱小団体の悲しさで、公的施設を定期的に利用予約する資格が無い。
あちこちの施設の空き状況を見ながら会場確保に努める流浪の民として7年余を過ごしてきた。最近は文京区と練馬区の施設を使うことが多い。昨年の途中までは新宿区にも随分お世話になった。港区、中央区にまで遠征したこともある。
人前での演奏は、文京、新宿の両区でのみ行ってきた。その御縁に鑑み、両区の区歌を歌えるようにしておこうと、楽譜を入手したのは数年前だった。しかし、手つかずに時が過ぎ、先日漸く文京区歌を歌った。
今年度は新宿区の施設の利用を再開する可能性があるので、こちらの区歌も仕込んでおきたいところだ。その名も「大新宿区の歌」の楽譜は、約4年前に区役所にお願いしてFax送信して貰ったのだが、今は区のホームページに歌詞、楽譜、音源が載せられている。
作曲者は平岡均之(1901-1976)で、彼の名は当ブログにも複数回登場している。作詞者は服部嘉香となっている。その名は初見なので、検索したところ、国文学者にして詩人(1886-1975)であることが判った。
所縁の関西大学ホームページによれば、“早稲田大学文学部英文科を卒業。同期生に北原白秋、三木露風、若山牧水がいた。”ということで、懐かしい石川啄木を思い出す。二人の生まれは同年で、服部の方がひと月半ほど後だ。啄木の没後、更に63年も長生きしている。
服部の歌詞は平明な口語調で、佐藤春夫の文京区歌の文語調(2014/3/3(月))とは実に対蹠的だ。“ビジネスセンター”などというカタカナ語の採用にはびっくりだ。詩人の本領か、言葉遊びか、“心さやかに身もすこやかに”とか“御苑外苑学園ならぶ”など韻律に巧みである。
明後4月4日は服部の誕生日、3日前の3月30日は平岡の命日。