今月に入って数日は梅雨の風情も感じられたが、6日以降今日まで11日間(都心の統計記録上は)降雨が無い。尤も、≪平成29年7月16日10時42分 気象庁予報部発表 東京地方では、16日昼過ぎから夜遅くまで急な強い雨や落雷に注意してください。≫との情報もある。
全国的には各地で雨が降っているから梅雨が明けたわけでもなく、単に局地的日照りに過ぎないが、雨乞いをしたい気分だ。
雨降りを歓ぶ(p.98)
家持は、同年(当方注:西暦749(天平感寶元)年)閏5月6日以来、20日間以上も日照りが続くなかで、6月1日に「雨雲之気」を見て長歌・短歌を詠んだ(『万葉集』巻18・4122~4123)。~
この日の夕方、山の麓にたちこめる白雲を見て、雨が降るのを願う反歌(当方注:この見ゆる 雲ほびこりて との曇り 雨も降らぬか 心足らひに )を作ったのであるが、その三日後ついに雨が降り、家持は歓びの気持ちを次の歌にこめた。
雨の落(ふ)るを賀(ほ)く歌一首
わが欲りし 雨は降り来ぬ かくしあらば 言挙せずとも 年は栄えむ(巻18・4124)
天平感寶元年閏5月6日 = 西暦749年6月29日 グレゴリオ暦
天平感寶元年 6月1日 = 西暦749年7月23日 グレゴリオ暦
なので、25日間に達していたことが判る。家持の雨乞いが奏功して雨の降ったのが3日後だから、日照りは27日間に及んだことになる。農民から年貢を徴収して中央に送付しなければならないする責任のある国守として、家持は心底喜んだに違いない。実際にその後も順調に降雨があっただろうか。