サイモン・シン/[著]青木薫/訳『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』(新潮社 2016.5)をざっと読んだ。お奨め書評に釣られて図書館から順番待ちの末借りたにしては面白くなかった。数学の話題が、「ザ・シンプソンズ」というTV番組の紹介や裏話に埋もれ気味で、中身が薄まっている。
内容説明
笑うか?悩むか?アメリカNo.1アニメ『ザ・シンプソンズ』に隠された「超難解数学」を、サイモン・シンが語り尽くす!ハーバード大学出身の「数学博士」たちが、研究をなげうってまで選んだのはアニメーションの脚本家になる道だった。
目次
シンプソンズの真実
天才バート
πはお好き?
ホーマーの最終定理
数学的ユーモアの謎
六次の隔たり
リサ・シンプソン、統計と打撃の女王
ギャルジェブラとギャルゴリズム
プライムタイム・ショー
無限とその向こう〔ほか〕
比較的面白かった話題を記録しておこう:
円周率π=3.2
アメリカ・インディアナ州の1897年州議会本会議第246法案は、ある医師が起草したもので、不可能の証明が為されている、いわゆる「円積問題」の“解法”が含まれていた。その中で、≪円周率π=3.2≫が主張されていた。法案は下院を通過し、上院に回された。たまたまパーデュー大学数学部長の教授が目にすることとなり、その忠告により、法案は無期延期となった。形式的には、法案は今も復活を待っているとのことである。
フェルマー方程式の偽解
398712+436512=447212
フェルマーの最終定理で、an+bn=cnを満たす自然数a、b、cは存在しないことが判っている(nは3以上の整数)。上記等式はその定理を破っているように見える。十桁表示の電卓で検算すると等式が成り立つように見える。実はニアミス解だそうだ。つまり、これら三つの数は、フェルマー方程式を“ほぼ”満たす偽解だ。左辺の値が右辺の値より0.000000002%だけ大きい。もう一つの偽解も紹介されているが、やはり12乗の和であるのが面白い。
ATARI=当たり
アメリカのテレビゲーム(ヴィデオゲーム)の会社でATARI社というのがあった。四十年ほど前盛んに目にして、日本語のような社名なのが気になっていた。本書の訳注により、その社名が囲碁の「当たり」によること、社章は富士山を象ることを知った。
不吉な回文素数
1000000000000066600000000000001
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