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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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美しい量子物理 ~ 量子論と社会 ~ 量子論と相対論

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ロバート・P.クリース他「世界でもっとも美しい量子物理の物語」(原題The Quantaum Moment の訳書 日経BP社 2017.2)をかいつまんで読んだ。発行元による紹介は≪確率や統計で解釈される量子物理学のイメージを、ジョン・アップダイクの小説や1コマ漫画、詩、彫刻などで表現されたものをベースに、数式を使わずに、巧みに概説した科学史ストーリーです≫。
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量子論、量子物理学自体の説明も含まれているが、簡略を旨とし、本論は、それらの文化的側面を扱っている。量子の概念が芸術・人文科学・社会科学・マスメディアなどとどのような相互作用を持ったか、各分野でどのように受け止められたか、理解(誤解、曲解)されたか、物理学者が量子をどのような言葉で世間に向けて説明したかなどを夥しい事例や引用で紹介している。
 
途中から飛ばし読みになり、要旨は掴めないままに終わったが、気に入った挿話など記録しておこう:
 
―――≪quantum(複数形quanta)≫なる語は、量子論が出現する以前から≪量≫の意味で普通に用いられたいた。物理学で≪量子≫という意味で使われるようになって、一般社会での用法も多義化し、不可分の最小単位、離散的現象、跳躍などのイメージを持つ語となった。
 

―――自動車のエンジンルームの覆いを指す≪hood米≫、≪bonnet 英≫は、いずれも原義は≪帽子≫であるが、今では殆ど忘れられている。

 
―――≪peculiar 奇妙な≫という語は、古代ギリシア語で≪家畜≫を意味する語から、≪私有の≫→≪特有な≫→≪奇妙な≫となった。
 
―――フランス語で≪気取らない小さなレストラン≫の意味の≪bistro ビストロ≫は、ナポレオンがロシアに敗北後、パリに進駐したロシア兵がシェフに「もっと早く食事を出せ」と大声で命じたことから生まれた(管理人注 bistro のもととなったロシア語は何か、ネット検索では判明しなかった)。
 
―――ブラウン運動とは、顕微鏡のもとで、花粉などの粒子がジグザグに運動し、繰り返しランダムに跳ね返っているように見える、不思議な現象(管理人注 原文通りの忠実な翻訳であるとすれば、著者たちは俗説によってブラウン運動を誤解していることになる。 ブラウン運動の誤解~花粉は大きすぎる~時間の定義 2012/11/5()
 
相対性理論は難解、量子理論はもっと難解と言われているようだ。どちらもマスターしていない当方だが、何となく量子の方がすんなりイメージできるような気がする。不確定性原理よりも時間・空間の伸縮の概念が掴みにくい。どちらの理論も着実に実社会に応用されつつある時代に生きながら、それらを明確に理解できないのは寂しいものだ。

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