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Bald's Leechbook ボールド医典~ 世界最古級の医学書 ~ 医心方

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こんなニュースが2年前にあった:

 
≪千年前の薬で耐性菌が死滅 中世の医学書から再現   2015.04.01 Wed posted at 13:38 JST
 
ロンドン(CNN) 1000年前の中世の医学書に記されていた眼病の治療薬に、抗生剤の効かない耐性菌を死滅させる手がかりがあるかもしれない――。そんな研究結果を英ノッティンガム大学の研究チームが発表した。
 
この治療薬の製法は、大英図書館が所蔵する10世紀の医学書「Bald’s Leechbook」に、眼病の治療薬として紹介されていた。同書は世界最古級の医学書といわれる。
 
抗菌作用があるといわれるニンニクなどの成分が使われていたことから同大学の専門家が着目し、同書を翻訳。微生物専門家の協力を得て、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する効き目を調べた。
 
薬品の成分はネギ属の植物2種(ニンニクと玉ネギまたは西洋ネギ)とワイン、牛の内臓から採取する胆汁。これを真ちゅうの容器で醸造し、9日間置いた後に布でこす。≫ 
 イメージ 1
 
その続報には残念ながら接していないが、実験室レベルでの所見から実医療に至るまでには相当の手間暇を要する。医薬品として世に出る前に、民間療法として試してみたらどうだろう。
 
“10世紀の医学書”と言えば、わが国最古の医学全書とされる『医心方』が朝廷に献上されたのがAD984だそうだから、両者は同時代の≪世界最古級の医学書≫ということになる。
 
『医心方』なる古典の存在は昔から聞いているが、中身は全く知らない。そもそも、部外者には解読できないように“異字、動字、省画、増画文字などのカラクリを含む古漢文”で書かれ、中世国文学の専門家でも容易には理解できないシロモノだそうだ。
 
 イメージ 2
 





医心方第22巻。医心方の中でも唯一図を持つ巻(ウィキペディア)
 
内容的には、自然科学の未発達な時代、地域における実践医療の集大成だから、現代医学の常識に反する記述もあるに違いないが、永年の経験に基づく確かな知恵も含まれているに違いない。それらを選別する医学者の仕事が待たれる。
 
それを現代語に翻訳して『全訳精解医心方』30巻33冊(筑摩書房 1993-2012)を著わした槇佐知子氏によるダイジェスト版『医心方』として、≪『医心方』事始≫が近々(4月24日?)発売されるそうだ(藤原書店)。

槇氏によれば、『医心方』には“現代を超える医療”も記載されているそうで、当方も興味津々、ダイジェスト版の(図書館への)入荷が待ち遠しい。
 
蛇足:医心方の「方」だが、「ほう」「ぼう」「ぽう」の3通りの読み方が行われているようだ。

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