以前、“日本放送協会制作 憲法公布記念童謡”「新らしい日に」を紹介した時、歌詞第一番を
空は高いよ 澄んでるよ いつ仰いでも きれいだな
僕等もいつも きよらかに 空の心で 暮らしましょう
僕等のお国 日本の 新らしい日に 誓いましょう
先日、歌詞1~3番すべてを記録するため、原資料「川田正子孝子愛唱曲全集」(白眉社 昭和22年11月)を取り出す必要に迫られたが、楽譜などの山に埋もれているのを再発見することは事実上不可能であった。
そこで、やむなく、Youtube にアップされている川田正子の歌唱から聴き取ることにした。意外なことに、1番の≪僕等もいつも≫は、≪僕等も高く≫と歌っている。歌い出し≪空は高いよ≫に共鳴して、悪くない。歌集のミスプリだろうか。
歌詞2番は
海は広いよ 大きいよ 世界の果に 続いてる
僕等もいつも 広々と 海の心で いきましょう
僕等のお国 日本の 新しい日に 誓いましょう
と聞いた。≪いきましょう≫は≪生きましょう≫だろうか。
次の第3番には難儀した。不明部分は母音だけを記し、取り敢えず書いてみた:
花はきれいだ やさしいよ アアーエアイーーウは 気高いな
僕等のからだ すこやかな 楽しい心で アーイましょう
僕等のお国 日本の 新しい日に 誓いましょう
これでは1行目も2行目も意味を成さない。一縷の望みを家人の能力に託し、先ず、≪アアーエアイーーウは≫の部分を聴いて貰った。初めは当方同様、首を傾げていたが、3回ほど聴いたところで突然、≪中でも菊は≫だと明言した。
これは驚天動地、当方が一万回聴いても夢想だに出来ない歌詞だ。そんな馬鹿な、と思いつつも、≪気高いな≫への繋がりは不自然を感じさせないので、改めて聴いてみると、何と不思議なことに、その通りに聞こえるではないか。予備知識の効果か、あるいは、暗示に掛ったのかも知れないが、一旦そう聞いてしまうと、もう疑問の余地の無い自明の歌詞のようだ。
これに劣らず驚愕の解答が2行目にも与えられた。当方があまり問題にしなかった≪僕等のからだ すこやかな≫の所は、≪僕等の花だ 菊の花≫で、1行目の≪菊≫に呼応している。続く≪アーイましょう≫は≪咲きましょう≫だった。結局、第3番は次のようになる:
花はきれいだ やさしいよ 中でも菊は 気高いな
僕等の花だ 菊の花 楽しい心で 咲きましょう
僕等のお国 日本の 新らしい日に 誓いましょう
太字の部分を聴き取れていなかったのだが、答が出て見ると、どうしてこんな簡単な言葉が聞き取れなかったのか、我ながら不甲斐ないと思う。
音源の劣化で、子音が曖昧になること、母音は保存され易いが、「ア」と「オ」は紛らわしいことを再認識した。
聴力の方も劣化しているに違いない。